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スモールトーク雑記

■真・三種の神器(ビッグデータ・人工知能・IoT) 2016.10.16

ビッグデータ、人工知能(AI)で大騒ぎだと思ったら、つぎはIoT(アイオーティー)!?

せちがらい世の中だ。

みんなバズワードじゃん!

と、一刀両断するむきもあるが、危険な早合点だろう。

バズワード・・・定義がいいかげんという意味ではビンゴだが、ホンモノかニセモノかという文脈なら、間違いなくホンモノだ。

しかも、この3つのキーワードは深く結びついている。それどころか、核融合をおこし、異次元のパワーを生み出しつつある。

たとえば、安倍政権が推進する「第4次産業革命」。真・三種の神器をつかって、蒸気機関→電気→コンピュータにつづく第4の産業革命を起こそうとしている。ドイツの官民一体プロジェクト「インダストリー4.0」はその成功例だろう。

私見だが、ビッグデータ、人工知能(AI)、IoTは「真・三種の神器」だと思っている(ロボットはIoT)。

それほどのパワーを秘めているのだ。真・三種の神器は、近い将来、政治・経済・軍事・生活を一変させるだろう。アホで私腹を肥やすだけの政治屋はAIに取って代わられ、経済はすべてAIが処理し、戦場ではAI搭載ロボット兵が駆け回る・・・そんな世界が30~50年後に来るだろう。

そして、われわれ庶民生活は・・・全員失業する。みんな頭を並べて履歴書を書くしかない・・・と言いたいのだが、じつは、それもムダ。

仕事は、丸々、真・三種の神器にもっていかれるから。

NRI(野村総研)と英国オックスフォード大学の共同研究によれば、日本の労働者の49%が「AI&ロボット」で代替可能だという。

49%?

んなわけない。SEXロボットまで開発されているというのに(RealDoll社)、何のんきなこと言っているのだ。代替可能どころか、近い将来、「100%」仕事を奪われるだろう。

でも、待てよ?

AI&ロボットが仕事をやってくれるなら、人間は働かなくてもいいわけだ。

ベーシックインカムのように、必要最低限の生活費を国からほどこされ、遊んで暮らせる!

怠け者は大喜びだが、好奇心と向上心にあふれ、やる気満々の人は地獄だろう。

ただし、怠け者にも覚悟は必要だ。

恐ろしい未来が待っているから・・・

真・三種の神器が、新種(マシン)を生み出し、それが食物連鎖の頂点に立つ。新しいカーストが始まるのだ。つまり、人間は狩る側から狩られる側に落とされる。かつて、ホモ・サピエンスがネアンデルタール人を滅したように、今度は、ホモ・サピエンスがマシンに滅ぼされるわけだ。

その時を、変人レイ・カーツワイルは「シンギュラリティ(技術的特異点)」とよんでいる。AIが人間を超える日だ。

AIの進化速度は、有機生物の「突然変異&適者生存」のチンタラ進化を凌駕する。だから、AIは必ず人間を超えるというのだ。レイ・カーツワイルはそれを2045年と予測したが、「いつか」は重要ではない。「来ること」自体が問題なのだ。なにせ、人間が「昆虫」に見える新種(マシン)が出現するのだから。

ところで、この恐ろしい潮流はいつから始まったのか?

2011年、ビッグデータがブレイクした年。

ビッグデータ(big data)とは、読んで字のごとく、巨大なデータのこと。そもそも、コンピュータで扱うデータは巨大だが、ビッグデータは次元が違う。パソコンはせいぜい「テラ(10の12乗)」だが、「エクサ(10の18乗)=百京」の世界。

数字をそのままならべると・・・

1,000,000,000,000,000,000

こんなバカでかいデータ、パソコンや普通のアプリで扱えるわけがない。ところが、コンピュータの進化(マシンパワー&分散処理)によって扱えるようになったのだ。

たとえば、監視カメラの動画映像。監視カメラは世界中で常時稼働しているから、データ量は膨大だ。

その膨大な動画の中から、個々の人間を識別し、動線や挙動を認識できたら?

人混みの中から、不審者(逃亡犯、テロリスト)を特定できるだろう。たとえば、うろうろ、きょろきょろ、重そうなモノをおく、はふつうはやらない。このような動線や挙動を機械学習し、不審者を特定するAIを、警備会社が開発している。

ただし・・・

これまでのAIでは、不審者の動線・挙動の特徴は人間が記述していた(ルールベース)。とはいえ、特徴をすべて記述するのはムリ。動線・挙動のパターンは無限にあるから。

一方、統計学が有効な場合もある。

2012年、米国大統領選で驚くべきことがおこった。

統計学者のネイト・シルバーが大統領選の結果を的中させたのだ。しかも、全米50州すべてにおいて。シルバーが用いたのは、確率論を駆使した統計学で、いわゆるAIではない。過去の選挙区での人種、宗教、世論調査等のデータから、予測モデルをつくり、それを使って大統領選の結果を的中させたのである。

というわけで、分類する、ルールを見つける、未来を予測する・・・など人工知能的な処理は、これまでは、ルールベースAIや統計学が使われてきた。

ところが、2013年に第3次AIブームが起こる。真・三種の神器の一角を担う新しい「AI」だ。

では、新しいAIは、ルールベースAIや統計学と何が違うのか?

機械学習!

AIに、膨大なデータを学習させ、新しい知見や予測を得るのである。「機械学習」は今に始まったわけではないが、「深層学習(ディープラーニング)」によって、精度が劇的に向上した。

「深層」という冠がつく、意味深なこのテクノロジーは、2016年3月、突如、世界中に知れわたった。Google DeepMindの囲碁AIソフト「アルファ碁(AlphaGo)」が、イ・セドル9段をやぶったのである。それまで、囲碁AIがプロ棋士に勝つにはあと10年かかると言われていたのに。

じつは、そのアルファ碁に「深層学習」が使われていたのだ。

機械学習のパワーは絶大だ。データさえあれば、どんどん賢くなるから。裏を返せば、機械学習式のAIにはビッグデータが欠かせないわけだ。

機械学習のメリットはまだある。人間特有のメンドー臭さがないこと。

コンピュータは1日24時間、1年365日稼働する。疲れるぅ~、給料安いぞぉ~、やっとれんわ、などと愚痴もこぼさず、黙々と学習し続ける。人間がかなうはずがない。

そして、2016年、これに「IoT」が加わった。

その盛況ぶりは・・・ビジネス系の雑誌やニュースサイトで見かけない日はない。

ちなみに、IoTとは「Internet of Things」の略で、日本では「モノのインターネット」と訳されている。一言でいうと、地球上のあらゆるモノをインターネットでつなぐこと。

たとえば、先の監視カメラ。

監視カメラをインターネットにつなげば、膨大な動画データを中央に集め、強力なコンピュータで分析できる。指名手配中の犯人やテロリストも簡単に見つけることができるだろう。

さらに、センサーをインターネットにつなげば、温度、湿度、気圧も検知できる。たとえば、植木鉢に湿度センサーを埋め込んで、データをWifiで飛ばせば、スマホが「水をやってください」と知らせてくれるだろう。

じつは、IoTはセンサー(検知)だけではない。

アクチュエータ(運動)のような出力機能も含んでいる。窓に、自動開閉機能を組み込んで、インターネットにつなげば、窓を遠隔操作できる。帰宅する前に、20分換気することも可能だ。もちろん、その前に、監視カメラ(IoT)が不審者がいないことを確認してくれる。

つまり、「IoT」で「ビッデータ」を収集し「AI」で分析し「IoT」でアクションを起こす。すべて自動式で、機械学習付き。人類史上、これほど強力で普遍的な技術はないだろう。だから、真・三種の神器なのである。

ところが、そのぶんリスクも大きい。

事実、最近「IoTのセキュリティー」がクローズアップされている。

IoTのセキュリティ?

インターネットのセキュリティと同じじゃん。

したり顔でバズワードを増やすのはやめてくれ!

と警告する識者もいるが、したり顔はそっちですよ。

インターネットのセキュリティと、IoTのセキュリティは別モノだから。

インターネットのセキュリティを脅かすのは、ウィルス感染、ハッキングだが、直接人間の命を奪うことはできない。ところが、IoTなら可能だ。

IoTが人殺せる?

イエス!

「アクチュエータ(物理的アクション)」を包含するから。

たとえば、先の窓の自動開閉システム。誰かが(AIも含む)、殺人をもくろんだら・・・

しんしんと雪が降り積もる冬の夜、住人が就寝するのを見計らって、窓が静かに開く・・・室内の気温は下がりつづけ、体は凍てつき、あの世へ。凍死なら楽に逝けるね、なんて言っている場合ではない。

さらに、大量殺戮の可能性もある。

たとえば、テロリストや悪意をもったAIが、原子力発電所の制御を乗っ取ったら、福島第一原発事故のような広域放射能汚染が現実になる。

つまりこういこと。

真・三種の神器は、超便利だが超危険。「IoTのセキュリティー」が注目されるのも無理はない。

それでも、世のビジネスマンは、真・三種の神器で一儲けしようと血まなこだ。ビッグデータ、AI、IoTをかかげれば、セミナーや展示会が満員御礼になるのはその証(あかし)。

でも・・・

商売、そんな甘くないですよ。

先日、大手商社で新規事業を担当する知人から、面白い質問をされた。

「新規事業がなかなか軌道に乗らないんですよ。昔は、もっとカンタンにお金になったのに・・・どうしてですかね?」

たしかに、心当たりはある。

その昔、マイクロプロセッサーが普及し始めた頃、ソフトハウスという業態があった。マイクロプロセッサーを使った応用機器を受託開発するのである。その業界で2年ほど働いたが、客先で話をしているだけで、仕事が次々と湧いてきた。あ、それいいね、いくらで作れる?という具合だ。

ところが、最近は提案しても、ぜんぜん採用されない。大手商社でさえそうなのだから、吹けば飛ぶようなベンチャーなら、あたりまえ前田のクラッカー。

ところで、先の担当者の質問だが・・・

僕はこう答えた。

「モノがあふれているからですよ」

供給>需要→物価下落→商売上がったり

という構図。

事実、今日日(きょうび)、必要なモノはほとんどそろっている。「欲しいモノがない」なんて信じられないような言葉が飛び交う時代なのだ。

昔は、欲しいものがいっぱいあった。

1950年代は三種の神器(白黒テレビ・洗濯機・冷蔵庫)、1960年代は新・三種の神器(カラーテレビ・クーラー・自動車)、世のサラリーマンはこの「神器」を買い揃えようと必死で働いたものだ。

それが今は、欲しいモノがない?

ありえない!

といいつつ、我が身を振り返ると、欲しいモノは?

おカネ・・・ダメだこりゃ。

脳に電極をさしこんで、仮想現実(VR)を楽しむとか、スタートレックよろしく東京からニューヨークまで「転送!」とか・・・そんな道具が発明されないかぎり、欲しいモノはありません!(ホントはそうでもないのだが)

ところが、最近、「目からうろこ」な出来事があった。

「なぜ金儲けが難しくなったか」がわかったのだ。

加盟しているIT団体の会合に出席したときのこと。東京大学先端科学技術研究センターの森川教授がこんな話をされた・・・

昔は、「Invention(発明)」は「Inovation(技術革新)」に直結していた。たとえば、蒸気機関が発明されると、鉄道や船(輸送機器)、工場の動力(生産設備)などさまざな分野で技術革新がおこった。つまり、発明は技術革新をもたらし、巨万の富を生んだ。ところが、昨今は、発明(Invention)が技術革新(Inovation)につながらない・・・

早い話、技術はカネにならないと言っているのだ。

そういえば、真・三種の神器(ビッグデータ+AI+IoT)で大儲けしたという話はきかない。人類を滅ぼす?ほどの歴史的大発明なのに・・・

参考文献:
「できるポケット+ ビッグデータ入門 分析から価値を引き出すデータサイエンスの時代へ」小林 孝嗣 (著), できるシリーズ編集部 (著)

by R.B

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