BeneDict 地球歴史館

BeneDict 地球歴史館
menu

スモールトーク雑記

■貧乏防衛Ⅱ・円安の恐怖 2015.08.09

アベノミクスは、公然と、インフレを狙い、密かに、円安に誘導している。

金融市場に大量のお金をバラまき、「お金>モノ」の状況を創りだし、物価を引き上げ、さらに、円安で輸出企業を儲けさせ、社員の給料を引き上げ、インフレに持ちこもうとしている。

しかし・・・

このままでは、インフレではなく、悪性のスタグフレーションになる可能性がある。物価は上がるけど、給料は上がらない、そんな人を喰ったような世界。

さらに、円安は銀行預金を目減りさせる。2012年~2015年で、37%円安になっているので、国際基準(ドルベース)でみると、37%目減りしたことになる。

いつの間に?オデは何もしていないぞ!と怪気炎をあげる人のために、まずは、為替レートのおさらい。

為替レートは、通貨の価値をあらわす。

たとえば、1ドル120円なら、1ドルと120円が同じ価値をもつ。つまり、1ドルと120円が交換できるわけだ。

では、1ドル76円なら?1ドルと76円が交換できる。

どっちが得か?

そりゃあ、1ドルを76円でゲットできる「1ドル76円」の方が得でしょう。この場合、円の方がドルより価値が高いので、「円高・ドル安」とよんでいる。

ところが、2015年2月現在は1ドル120円、つまり、円安・ドル高。円はドルより価値が低いわけだ。というのも、1ドルの輸入品を買うとき、120円払う必要があるから(1ドル76円なら76円で済む)。

じつは、今、物価が上昇傾向にあるのは、アベノミクスのインフレターゲット(物価を上昇させる金融政策)が効いているからではない。円安・ドル高で、輸入物価が吊り上がっているから。

ところが、輸入物価が上がっても、得するのは外国の輸出企業だけで、日本企業はゼンゼン潤わない。

(便乗値上げする輸入業者をのぞいて)

あ、それで思い出した!

東京ディズニーリゾートとUSJが値上げしましたね。しかも、大幅に。輸入品とは直接関係ないのに。

来たくなければ、来なくてもいいですよぉ~、どうせ、満員ですからぁ~、と言わんばかり。

資本主義なんだから、そのどこが悪い!

ごもっとも。

でも、正直、こういうのは好きじゃない。

夢を売る子供相手のサービスなのに、なんだかんだ理屈をつけて、値上げして、ふたを開けば、普通の企業ではありえない利益率。これで、必要があって値上げしました、と言われてもねぇ。

だから、僕は二度と行かない。(そもそも行列が大嫌いなので)

とはいえ、こんな風潮が根づくと、インフレが常態化するかもしれない。

輸入物価が、どんどん値上がりし、さらに、便乗値上げが横行すれば、すべての物価が上がる。

でも、ガソリンは下がってるぞ。

それは、原油価格が下がったから(原油はドル建て)。実際、1バレルあたり「100ドル→50ドル」と大暴落している。

本来なら、日本のガソリン価格も半額になるはずなのに、そうはなっていない。

なぜか?

円安・ドル高で、輸入物価が値上がりしているから。コワイコワイ。

ところが・・・

円安・ドル高は、輸入品だけが値上がりするわけではない。原料が輸入品なら、国産品も上がる。

さらに、ココが一番の問題なのだが、資産が目減りする!

たとえば、1.銀行預金2.生保系貯蓄商品3.株4.投信5.不動産

全部じゃん!

イエス、円建ての資産はすべて目減りする。

どれくらい?

「37%」円安なので、「37%」減。

へぇ~、そりゃ大変だ、なんて変顔作って、喜んでいる場合じゃないですよ。

たった、3年間で、「100万円」の貯金が「63万円」に減ってるんですからね!(国際基準=ドルベースでみたら)

理屈はわかったけど・・・円安・ドル高がずーっと続くわけじゃないでしょう。

ノー!

”続く”どころか、円安・ドル高はさらに”進む”。

短期的には、投機筋の思惑や事件やデマに過剰反応するAIボット(金融取引専用コンピュータ)が原因で、乱高下するだろうが、中長期的には、円安・ドル高に進む。

北米大陸が沈没するとか、宇宙人が北米大陸を切り取って、母星に持ち帰るとか、そんな、想定外のことが起こらない限り・・・起こらんわ!

では、エビデンス(証拠)は?

為替レートは、「国力」を写す鏡なので、国のファンダメンタルズ(基礎的な経済指標)に左右される。

もし、ファンダメンタルズが「日本>アメリカ合衆国」ならドルより円が強くなり、「円高・ドル安」になる。たとえば、3年前の「1ドル76円」。

逆に、ファンダメンタルズが「日本<アメリカ合衆国」なら円が弱くなり、「円安・ドル高」になる。今の「1ドル120円」のように。

そして、今後は、さらに「円安・ドル高」が進む。1ドル150円~180円ですめばいいのだが・・・

マジか?

はい。

ということは・・・

アメリカと日本の差がますます開くってこと?

イエス。

前述したように、為替レートを左右するがファンダメンタルズだが、中でも、重要なのが「経常収支」。

「経常収支」は主に、貿易の儲け(貿易収支)と、海外資産の利息(所得収支)からなる。つまり、対外的な経済力と考えていいだろう。

ちなみに、米国の経常収支は、かつて、年間8000億ドルだったが、2013年には4000億ドルに半減している。

一方、日本の経常収支は悪化するばかり。

というわけで、円安・ドル高は必然。

しかも、この状態は今後も続く。おそらく、50年は・・・

なぜか?

中長期的にみても、ファンダメンタルズは「アメリカ>>日本」だから。

エビデンス!!

一般に、ファンダメンタルズは、1.労働力2.お金3.技術革新

の三つの要因で決まる。

まずは「労働力」。じつは、先進国の中で、唯一、アメリカだけが人口が増加している。一方、日本は減るばかり。つまり、労働力では現在も未来も、「アメリカ>>日本」

次に、「お金」。GDPでは、アメリカが世界一。しかも、アメリカは金融のメッカなので、世界中から投資マネーが集まってくる。なので、「お金」でも、「アメリカ>>日本」

最後に、「技術革新」。経済は、既存の商品やサービスが成熟すると、景気循環のループに入る。それを打破し、経済を成長させるのは「技術革新」のみ。

たとえば、自動車が発明されたとき、自動車通勤、ドライブなど、まったく新しい需要が生まれた。この新しい需要は、GDPにそのまま上乗せされる。

しかし、電気自動車が普及しても、ガソリン自動車のパイを食うだけなので、GDPには貢献しない。

つまり、経済を成長させるには、代替品ではなく、全く新しい需要が必要なのだ。その原動力は、改良技術ではなく、技術革新なのである。

そして、この技術革新でも、アメリカは一人勝ち。

たとえば、蒸気機関以来の技術革新「ビッグデータ&人工知能」も、アメリカがダントツ。特に、IBMの基礎技術とGoogleの応用技術は凄まじい。「高度な技術は魔法と区別がつかない」を画に描いたようなハイテクだ。残念ながら、日本が付け入るスキがない。

そもそも、歴史的にみても、技術革新は欧米が独占してきた。・・・・蒸気機関(イギリス)、電気文明(アメリカ)、コンピュータ(アメリカ)、V2ロケット(ドイツ)、自動車(ドイツ、アメリカ)

では、日本は?カップヌードル!

というわけで、技術革新(イノベーション)でも、「アメリカ>>>日本」

ところが、アメリカの一人勝ちの要因はまだある。

シェール革命。

これまで、原油や天然ガスは油田から産出した。

ところが、シェ-ル革命では、天然ガスや石油を含む岩盤を破砕し、ガス(シェールガス)や石油(シェールオイル)を抽出する。

ただし、油田にくらべ、手間ががかり、コスト高なので、これまでは採算が合わなかった。ところが、採掘技術に技術革新がおこり、1バレルあたり、50ドル~80ドルで精製できるようになった。

ちなみに、従来型の油田の採算ラインは、1バレル50~130ドル(産油国によって違う)。

つまり、シェール革命により、エネルギーの新しい供給口が出現したわけだ。その結果、供給量>>需要量で、原油価格が暴落したのである。

もちろん、それで困るのは産油国(OPEC)。経済も政治も外交も、原油におんぶにだっこだから。

そこで、これまでは、減産して(供給量を減らす)、原油価格を上げていたが、今回はそれはナシ。

なぜか?

原油安を続けて、アメリカのシェール革命をぶっ潰すため。あくまでもウワサだが、本当だろう。

じつは、シェールガス、シェールオイルの最大の産出国がアメリカ合衆国なのだ。順調にいけば、2017年には、アメリカは石油・ガスの生産量で世界一になるという。(現在はロシア、中東)

さらに、2035年には、アメリカは「エネルギーを自給自足する」という予測もある。

高度な技術力と工業力にくわえ、エネルギーも自給自足?そんな国ありません!

もし、本当に、アメリカがエネルギーを自給自足するようになれば、経常収支はさらに好転する。

というのも、アメリカは、毎年2000億ドルの石油を輸入している。それがゼロになるのだから、経常収支が好転してあたりまえ。

というわけで、ドル高要因がテンコモリだ。

一方、日本の未来は・・・暗いとは言わないがアメリカとの差は開くばかり。

だから、ファンダメンタルズは、今は「アメリカ>日本」だが、未来は「アメリカ>>>日本」。

つまり、とことん、円安・ドル高なのである。

ただし、極端なドル高は、アメリカの輸出産業を弱体化させるので、アメリカ政府は介入するだろう。うまくいくかどうかは別として。

ということで、今後の日本は、インフレと円安・ドル高で物価は上がるが、給料は上がらない(大手企業と公務員はのぞく)。

その結果、日本は、アメリカや中国なみの格差社会になるだろう。富める者はさらに富み、貧しき者はより貧しくなるのだ。

前述したように、円安・ドル高がもたらす問題は、物価と給料だけではない。資産も目減りしていく。

それは、お金持ちも貧乏人も同じでは?

ノー!

お金持ちは、すでに対策済みです。

ということで、次回は、いかにして、インフレと円安から財産を守るか

by R.B

関連情報