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スモールトーク雑記

■信長の旅・夏休みの宿題 2012.09.09

夏も終わりに近づいたある日、「織田信長」ゆかりの地を、旅してみようと思い立った。

おチビが、

「夏休みの宿題がオダノブナガ?なにそれ、ゼンゼン興味ないシ~」

とぼやいたのがきっかけだった。

確かに、「信長、秀吉、家康、この3人の中で、誰の家来になりたいですか?その理由も書いてね~」は、小学校6年生にはトートツ過ぎる。

担任の先生が、戦国時代が大好きで、熱く語っているのだろうが、生徒の方はポカ~ン、そんな情景が目に浮かんだ。というわけで、先生がちょっと気の毒になった。

というのも、その昔、僕も「信長」オタクだったから。たまたま、その頃、PCゲームが全盛で、「GE・TEN~戦国信長伝・下天~」というシミュレーションゲームをつくったほど。もちろん、こっちはトートツではなく、会社の新規事業としてやったのだが。

確か、あの時も、スタッフに信長のイメージを刷り込ませようと、信長のゆかりの地に”出張”したものだった。で、行き先は、「安土」と「比叡山延暦寺」・・・それだけ?イエス!で、理由は?

今から数百年前、日本が群雄割拠していた頃、最強グループは、今川、武田、上杉、つづいて、毛利、北条、島津、長宗我部・・・だから、尾張の「オダノブナガ」なんて、ローカルもいいところだった。

ところが・・・

じつは、この織田家、領地は尾張一国なのだが、平野が多く、生産性も高いので、石高は57万石もある。しかも、どういうわけか、超お金持ち。さらに、尾張兵は弱兵なのに、親分がメチャクチャ頭が切れて、一筋縄ではいかない。

織田家あなどれず・・・

それを証明したのが、桶狭間の戦いだった。

1560年6月、家柄、国力ともに、天下人に最も近い今川義元が、織田領地に攻め込むと、連戦連勝、織田方を圧倒した。ところが、雷鳴とともに形勢は逆転し、あっというまに、大将の今川義元が討ち取られたのである。

こうして、織田信長は、一夜にして、全国区の大名にのし上がった。

ところで、「信長の旅」の行き先だが・・・なぜ、「安土」と「比叡山延暦寺」なのか?2泊3日なら、このあたりが限界、では身もふたもないので、一応、理由をあげると・・・

織田信長は、生まれ育ちが尾張(名古屋)で、自ら戦場に出向いたのは、東は甲斐(山梨)の武田氏、西は摂津(大阪)の石山本願寺(一向宗)、北は越前(福井)の朝倉氏、と、活動範囲は意外にせまい。

それに、古戦場に行ってみたところで、織田家の旗が立っているわけでもないし、信長の跡形もない。

というわけで、信長の名残(なごり)があるのは、安土城跡と、安土城天主のレプリカがある「安土」ぐらい?信長の居城「岐阜城」も残っているが、信長というよりは、「斎藤道三」のイメージが強い。

では、比叡山延暦寺は?

安土から近いから、では身もふたもないので、一応、理由をあげると・・・

信長が征服した地は、そのほとんどが、信長の痕跡もない。ところが、比叡山延暦寺にはそれがある。じつは、痕跡どころか、そのまま再建されているのだ。

だから、根本中堂をはじめ、再建された建造物を目に焼き付け、目を閉じて、これが信長に焼かれたのだ・・・と想像するだけで、信長の時代にタイムスリップ、というわけだ。

とまぁ、よくわからん理由で、安土と比叡山延暦寺に行くことにした。

ところが、本当は・・・

延暦寺に行くのは、「精進料理」を食べるため。

僕の父は、普通の公務員だったが、若かりし頃福井県の永平寺によく修行に行った。ところが、2週間も精進料理を食べていると、俗世の料理が、不味くて食べられなくなったという。

精進料理は、素材が野菜、豆類、穀類だけで、肉類はナシ。仏教では、殺生が禁じられているからだ。そのぶん、僧は、不味い?素材をいかし、できるだけ美味しく食べられるよう、工夫を凝らしたのだという。

なので、精進料理は、一見不味そうだが、慣れるとやみつきになる(らしい)。

実際、20年前、延暦寺で食べた精進料理は絶品だった。その熱い思い出を秘めて、延暦寺まで行こうというのである。

ただ、延暦寺会館のレストランに、飛び入りで入ると、選べるランチは1つだけ。そこで、事前に、「精進弁当(二段重)」と「お子様弁当」を予約しておいた。(見るからに美味そう)

さらに、おチビには、「信長公記」を読み聞かせ、信長の恐るべき行状を伝え、黒澤明監督の映画「影武者」を見せ、まだ輝いていた頃の隆大介の鮮烈な「信長像」を刷り込ませた。

カミさんは、以前、安土城跡と比叡延暦寺に連れて行ったことがあるので、事前準備はナシ。そもそも、僕が熱く語りだすと、ロコツに嫌な顔をするので、講釈する気になれない。まぁ、今回はおチビのため、と割り切って出かけることにした。

by R.B

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