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スモールトーク雑記

■マカオ再び・カジノほぼ必勝法 2012.06.16

カジノフロアに入るやいなや、同行したディレクターと新人が、「わー、なにこれー」と歓声を上げる。(デカいと思っている)

言われるまでもなく、ベネチアン・マカオ・リゾートのカジノは世界一。東京ドーム1個分のフロアに、スロットマシンが3000台、ゲームテーブルが1000台が整然と並んでいる。段差ナシの1フロアなのに、端から端が見渡せない。息をのむほどの広さだ。

そんなわけで、カジノでは注意が必要だ。「飲み放題」にうかれて、酒を飲み過ぎると、部屋に戻れなくなりますよ、マジで。

ところが・・・

不思議に「ダダッ広さ」は感じない。フロアが人で埋めつくされ、欲の熱気でムンムンしているから↓

Macao2012_Casino

ただし、どこもかしこも人でいっぱい、というわけではない。ラスベガスで人気のスロットマシンはスカスカ。人気があるのはテーブルゲームだけ。しかも、そのほとんどが、バカラ(カードゲーム)か、大小(サイコロゲーム)。いわゆる、丁半バクチだ。

というのは、中国人は丁半バクチ(系)が大好き。そして、カジノ客の8割が中国人。よって、マカオのカジノは、バカラor大小、一色というわけだ。

「バカラ」はトランプゲームで、イタリア語で「破産」を意味する。なんとも不吉な響きだが、実際は・・・

1980年、「ハマコー」こと浜田幸一元衆議院議員が、ラスベガスで、4億6000万円すった。さらに、2011年、大王製紙の井川前会長が、マカオで20億円すった。これだけなら、アッパレ!ですむのだが、人様のカネを使ったことが問題になった。

とくに井川前会長の場合、子会社から106億8000万円借りて、そのほとんどを、カジノで使ったという。もったいないなー、僕なら1億円は貯金しとくな。そんな問題じゃないか・・・

貧乏人の話はさておき、大王製紙の創業家の御曹司ともなると、人間の器が違う。106億円見事に使い切ったわけだ。しかも、器とは関係ないけど、東大法学部卒のイケメン。

そんなこんなで、世間のひがみ、やっかみ、嫉妬、(みんないっしょか)ちょびっとの倫理観から、集中砲火をあびた。

たしかに、貸した方にしてみれば迷惑な話だし、悪いのは重々承知だが、人を傷つけよう、人を陥れよう、私腹を肥やそう、他人に責任を押しつけよう、の意図が一切感じられない。だから、どこか憎めないのだ。

放射能をまき散らし、広大な地域を壊滅させ、首都圏まで避難寸前に追い込みながら、世間のはるか上をいく給料を保ちつつ、電力料金を平気で引き上げる東電のトップの方が、よっぽど悪党に見える。あの中国でさえ、2011年の高速鉄道脱線事故の責任者は、処分されたのに。この手の重罪が放置されるのは、日本ぐらいだ。

いや、日本でも、世が世なら、市中引き回しの上縛り首だろう。

あんな取り返しのつかないことをしでかしておきながら、自責の念にかられない、責任も問われないというのは、この国のモラルと正義が崩壊している証拠だろう。恥を知れ、と言いたいのだが、元々ないのだからどうしようもない。

話をもどしてバカラ。バカラは、バンカー(胴元役)とプレーヤー(客役)、どっちが勝つかを賭けるゲーム。客はゲームに直接参加しないので、ブラックジャックのような賭け引きもないし、ルールもシンプルだ。

では、バカラはなぜ人気があるのか?

1回の賭け金を大きくできるから。

そのぶん、へこむとただではすまないが、だからこそ、バクチなのだ。

一方の「大小」は、サイコロの出目を賭けるゲーム。ルーレットのように、いろんな賭け方ができるが、最終的に、大か小か?つまり、丁半バクチに行き着く。

具体的には、サイコロを3個ふって、出目の合計が、「4~10」なら「小」、「11~17」なら「大」、そのどちらかに賭けるわけだ。

でも、サイコロが3個なら、出目は「3~18」なのに、なぜ、「3」と「18」がない?ぞろ目だから。

ぞろ目とは、サイコロの出目が、すべて同じ数字になること。1~6の6パターンがあるが、「3」は、「1」のぞろ目、「18」は、「6」のぞろ目。

そして、ぞろ目がでると、大小は関係なく、親が丸取りする。だから、「3」と「18」は大小には入れないわけだ。冷静に考えると、このぞろ目ルールで、胴元が圧倒的に有利なことがわかる。

ところで、ウチのディレクターと新人だが、あろうことか、この「大小」にはまってしまった。危険だと忠告すると、

「必勝法があるから、大丈夫ですよ」と、とりあわない。

その必勝法とは・・・

最初に、「大」に1万円賭ける。それに負けたら、賭け金を2倍にして(2万円)、「大」に賭ける。さらに負けたら、賭け金を2倍にして(4万円)、「大」に賭ける。つまり、負けたら、賭け金を2倍にして、「大」に賭け続ければ、いずれ、「大」が出て勝つ。(確率1/2なので)その時に、過去の負け分をチャラにできるというのだ。

本当かどうか計算してみよう。2回連続負けて、3回目に勝ったとする。そのときの収支は、

支出=1万円+2万円+4万円=7万円収入=4万円×2倍=8万円(勝つと賭け金が2倍でリターン)収支=収入-支出=8万円-7万円=1万円しめて、1万円の勝ち。

これは、初回の賭け金が1万円で、3回目で勝利する場合だが、初回の賭け金がいくらだろうが、何回目で勝利しようが、儲けは「初回の賭け金」になる→必勝法の証明

つまり、何回負けようが、1回勝てば、取り戻せるわけだ。一応、理屈はあっている。

ただし、この必勝法には3つの問題がある。

第1の問題・・・資金が続かないと大損する。

「大」にしろ、「小」にしろ、出る確率はほぼ1/2なので(ぞろ目があるので)、5回もやれば、自分が賭けた目が出る、と思うだろう。

ところが・・・

今回の出張中、ウチの新人は7回連続、ディレクターは10回連続負けている(ぞろ目丸取りを含めて)。

そこで、1万円から初めて、7回連続負けたとする。そのときの支出額は、1万円+2万円+4万円+8万円+16万円+32万円+64万円=127万円!

ここで、やめれば、127万円の負けが確定する。とはいえ、ゲームを続けるには128万円が必要だ。もちろん、次に勝つとは限らない。さあ、どうする?

もっとも、手持ち資金が尽きれば、是非もない。127万円の負けでゲームオーバー。

ところが、ほとんどの人が、ここで止められない。仲間に借金したり、ガイドに借金したり(ガイドさんから直接聞いた)、VISAカードからキャッシュをおろしたり、地獄が始まるのだ・・・コワイコワイ。

第2の問題・・・大、小、どちらかに賭け続けることに意味はない。

たとえば、「小」が10回連続して出れば、次に、「大」が出る確率が高い、と思うだろう。ところが、それは錯覚。次に「大」が出る確率は、「小」が出る確率と同じ「1/2」(ぞろ目を無視)。

つまり、過去の出目に関係なく、「大」、「小」が出る確率は、いつも「1/2」(ぞろ目を無視)。

だから、「大」、「小」どちらかにしぼるのも、毎回、テキトーに決めるのも、数学的確率は同じなのだ。

ここで、3回賭けた場合の、全パターンの確率を計算してみよう。ここで、「小→大→小」は、1回目が「小」、2回目が「大」、3回目が「小」が出ることを意味する。考えられるパターンは次の8つ。

1.「小→小→小」=1/2×1/2×1/2=1/8

2.「小→小→大」=1/2×1/2×1/2=1/8

3.「小→大→小」=1/2×1/2×1/2=1/8

4.「小→大→大」=1/2×1/2×1/2=1/8

5.「大→小→小」=1/2×1/2×1/2=1/8

6.「大→小→大」=1/2×1/2×1/2=1/8

7.「大→大→小」=1/2×1/2×1/2=1/8

8.「大→大→大」=1/2×1/2×1/2=1/8

つまり、すべてのパターンは同じ確率「1/8」で起こる。「大→大→大」と同じ目が連続する確率が低くて、「小→大→小」とばらける確率が高い、とは限らないのだ。

ちなみに、上記の8つのパターンが起こる確率を全部足すと、1/8×8=1つまり、この8つのパターンで、起りうるすべてのパターンを網羅していることになる。

第3の問題・・・必勝法が途中でイヤになる

資金が続かなくなるのは、1万円から賭けるからで、1000円から賭ければいいのでは?(一般的サラリーマンの場合)

たしかに、1000円から賭け始めれば、7回連続負けても、12万7000円の損ですむし、いつかは勝つだろう。でも、8回目に勝ったとしても、儲けは1000円。

もちろん、1回目に勝つこともあるだろうが、それでも、儲けは1000円。

ということで、この必勝法の正体は明らかだ。

「負けが先行→どこかで取り戻す→儲けは1000円」

このループを延々と繰り返すわけだ。これは賭けではなく、「作業」。誰だって、イヤになる。

そこで、堪忍袋の緒が切れて、大金を賭けることになる。たとえば、標準的なサラリーマンなら、5万円。ところが、負ければ、「5万円=初回の賭け金」となる。すると、その後の賭け金は、10万円→20万円→40万円→80万円→160万円→320万円→640万円→1280万円・・・そのうち家が建つぞ。

どう考えても、ハイリスク・ローリターン。ところが、バクチというのは、本来、ハイリスク・ハイリターン。だから、カジノで必勝法が成立するはずがないのだ。

というわけで、普通のサラリーマンが、ハイリターンを狙うには、1回目から、10万円賭けるしかない。もし勝てば、一撃で10万円儲かるからだ。でも、負ければ、10万円の損。もちろん、その後は、20万円→40万円→80万円→160万→320万円→640万円→1280万円→2560万円・・・もうやめよう。

ということで、予算が10万~20万円なら、1分程度でゲームオーバー。わざわざマカオまで来て、それはないだろう!うけたまわりました。では、借金地獄でお待ちしております。

ということで、田舎者&プチ貧乏&小心者の僕には、「大小」は手に負えない。では、カジノで何をやるのか?地道にスロットマシン!

ところが、スロットマシンにも落とし穴がある。

スロットマシンは、賭け金を指定すると、リールが回って、特定の絵柄の並びになると、役が成立して、5コイン~20コインが得られる。もちろん、これだけなら、ジリ貧。

そこで、フリーゲームで息をつなぐ。フリーゲームに入ると、コインを減らさずに、自動的にゲームが続行するので、そこそこ、コインがたまる。スロットマシンにもよるが、5~10ゲーム続く。

ただし、フリーゲームだけで勝つのは難しい。元金の2倍がせいぜいだろう。わざわざ、カジノまで来て、「1万円→2万円」を目標にする人はいない。

ということで、みんなが狙うのが、「ジャックポット(大当たり)」だ。

スロットマシンは、それぞれ、お客から吸い上げたお金をため込んでいるが、その総額が表示されている。

「ジャックポット」とは、その総額を丸取りする「大当たり」のこと。一撃で、数十万~数百万円稼げるわけだ。実際、ウチの会長は、去年、ジャックポットを当てて、60万円ゲットしている。

ところが・・・

そのマカオ大好きの会長は、ジャックポットを当てた時以外は、毎回、25万円前後負けている。

さて、ここが肝心・・・

超レアなジャックポットを当てたにもかかわらず、トータルでは負けているのだ!

なぜか?

理由は2つある。

ジャックポットを当てるには、賭け金を「MaxBet(最大掛け率)」にしないとダメ。だから、ジャックポットを狙えば、負けた時の損金も大きいのだ。というわけで、せっかく、ジャックポットで大金つかんでも、過去に負けた分、未来に負ける分でチャラ。(チャラですめばいいが)これが、第1の理由。

第2の理由は確率。

カジノは、「胴元が勝つ確率が高く」設定されている。なので、長くやればやるほど、トータルでの勝ち目はゼロに近づく。(低くなるのではなく、「ゼロ」)

具体的に説明しよう。

コインを投げて、裏表を競うとする。表と裏が出る確率は、それぞれ、1/2だが、10回程度では、表が7回、裏が3回、もありうるだろう。

しかし・・・

1万回やれば、表と裏は、それぞれ、5000回あたりでおさまる。そうでなければ、何か仕掛けがあるのだ。

つまり、長くやればやるほど、現実は数学的確率に近づいていく。

カジノも同じで、長くやればやるほど、「現実=数学的確率→胴元が勝つ」

もちろん、スロットマシンでいきなり、ジャックポットを当てて、二度とカジノに足を運ばなければ、大勝ちだ。

だが、これで味をしめて、常連になれば、確率が支配する世界に引きずり込まれ、結局は、ジャックポットの勝ち分まで失うことになる。

逆に、長いことやっていれば、ジャックポットを当てることもあるだろう。だが、そこで得た大金は、それまでに失った額に満たない可能性が高い。そして、それを繰り返せば、間違いなく、「ジャックポットで得た金額<それまでに失った金額」(高校の数学「期待値」で計算できる)。

ということで、結論。

スロットマシンの王道、ジャックポット狙いは、長い目で見れば、必ず負ける。たとえ、ジャックポットを当ててもだ。

繰り返すが、カジノはやればやるほど、客の勝ち目(トータルでの)は、ゼロに近づいていく。

そして、それを裏付ける別のデータもある。マカオのカジノの元従業員から聞いた話・・・

・カジノでは、70%の人が「ある時点」で勝っている。・ところが、その90%の人が、最終的に元金まで失う。

ということは・・・

引き際さえわきまえれば、勝つ可能性は十分ある!

今回の出張前、カジノ大好きの旅行代理店の社長から、カジノ必勝法?を伝授された。彼は、先月、香港でカジノを5件ハシゴして(ブラックジャック)、全勝したという(初めてらしい)。そのコツというのが、「少し勝ったら止める」

ということで、カジノは・・・

・長期戦に勝ち目はない。大勝しても最終的には負ける。・引き際をわきまえれば、勝てる(かも)。

さて、方針が決まったところで、いざ、出陣。

カジノの両替窓口で、10万円を香港ドルに両替する(HK$9420)。すると、金額が多いと思ったのか、係員が、「香港ドルから日本の円には交換できませんよ」と忠告してくれる

たしかに、僕みたいなフツーのサラリーマンなら、2~3万円両替して、負けたら、都度、両替するほうがいい。「香港ドル→日本円」の両替レートが悪いので。でも、5万円は負けるだろうし、社員2人に晩飯をおごらないといけないし、土産もあるし、メンド~、と思ったのだ。

基本、カジノでは、「香港ドル→日本円」はムリだと思ったほうがいい。もし、香港ドルがあまったら、帰りに香港空港で交換するのがベター。レートは悪くないし、手っ取り早いからだ。(マカオ通貨パタカはダメ)

もっとレートの良い方法もあるが、慣れていないと面倒。ただ、日本に帰国後、銀行で両替するのはお勧めできない。両替してくれる銀行は少ないし、両替レートも最悪なので。

HK$9000を握りしめて、スロットマシンコーナーに行く。ジャックポットを狙う気はないので、表示された金額には目もくれず、勝てそうな台を、霊感?に頼って決めた。

1000ドル札(1万円)をツッコミ、ゲーム開始。いきなり、フリーゲームが連チャンして、5分で、1900ドルに。

いくらなんでも、ここで止められんわ、と初心を忘れ、ゲームを継続。1500ドルにまで減ったとき、我に返って、「Collect」ボタンを押す(精算)。キャッシュチケットを取って終了。この時点で、HK$476(4800円)の勝ち。

30分しか経っていないので、もう1台やろうと決心。再び、スロットマシンを物色。G2Eの展示会でみかけた台があったので、話のネタにするため、台の前に座る。1000ドル札をインサートして、ゲーム開始。

ところが・・・

たちまち、HK$1000→HK$700

やけに減りが早いぞ?賭け金が1ゲームHK$30(300円)になっているのに気づく。あわてて、1ゲームHK$7(70円)にもどす。

やがて、フリーゲームに突入。ところが、この台はフリーゲームが終わると、「勝利を確定しますか?それともギャンブルしますか?」と聞いてくる。

初めは、「勝利を確定」を選んでいたが、この台はフリーゲームだけでは勝ち目がないことがわかった。そこで、次のフリーゲームから、「ギャンブル」を選択。

「ギャンブル」のルールは、赤、黒どっち?つまり、丁半バクチ。勝てば、フリーゲームで獲得した金額が2倍になる。負ければ、フリーゲームで獲得した金額はすべて没収。

ところが、3回フリーゲームに入るが、3回とも、1回戦で負け。

そして・・・

次のフリーゲームで、HK$200獲得し、ギャンブルに挑戦、初めての勝利した。その結果、HK$200→HK$400。

ところが、これでも負けている。そこで、ギャンブル第2回戦に挑戦し、再び勝利。獲得金額は、HK$400→HK$800。これでトントン。ところが、なぜか、次も勝つような気がした。

そこで、3回目のギャンブルに挑戦して、勝利!獲得金額は、HK$800→HK$1600(1万6000円)。3回連続勝つ確率は1/8なので、こんな事象は長くは続かない。そこで、「Collect」ボタンを押して精算。キャッシュチケットを受け取った↓

Macao2012_CasioCashTicket

プレイ時間は1時間半、元金HK$1000で、HK$2141の儲け(約2万2000円)。マカオまで行って、2万円勝った?バカじゃないのか?僕もそう思う。

でも、ここが肝心なのだが、勝たないと、負けるわけだし、負けると、10万円ではすまないのがカジノ。だから、2万円の勝ちは、2万円以上の価値がある(と思う)。

そして、翌日、それが事実であることを、あらためて思い知らされた。

【必勝法の証明】

「賭け金を2倍にして賭け続ければ、勝った時、負けた分を取り戻せる」証明(高校の数学「等比数列」を用いる)。

初回の賭け金をa円とすると、n回目の賭け金は、初項「a」、公比「2」とする等比数列なので、

n回目の賭け金=a×2・(n-1)乗(n=1、2、・・・)

n回までの賭け金の合計は等比数列の和(等比級数)なので、

n回までの賭け金の合計=a(1-2・n乗)/(1-2)=a(2・n乗-1)・・・①

ここで、n回目に勝ったとすると、獲得金額は賭け金の2倍なので、

獲得金額=2×a×2・(n-1)乗=a×2・n乗・・・②

①と②から、

獲得金額-賭け金の合計=a×2・n乗-a(2・n乗-1)=a

つまり、初回の賭け金がいくらだろうが、何回目で勝とうが、儲けは「初回の賭け金」になる。

by R.B

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