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週刊スモールトーク (第468話) 医療崩壊の原因~GoToトラベルと医師会の真実~

カテゴリ : 社会

2021.02.19

医療崩壊の原因~GoToトラベルと医師会の真実~

■急落した内閣支持率

災厄が集中豪雨のように降って、日本を押し流そうとしている。

これに敢然と立ち向かう菅政権、と持ち上げたいところだが、状況は悪くなるばかり。

なぜか?

政権みずから「災い」を量産しているから。ウソのようだが本当の話。

日本は崖っぷちという事実に、与党はもちろん、野党もマスメディアも気づいていない。一部のネットメディア、識者、SNSが声を上げているが、内容は玉石混淆、どこまで本当かわからない。というわけで、日本は二重の混乱、災厄のクラスターが発生している。

内閣支持率もそれを支持しているようだ(NHKの世論調査)↓

2020年12月を境に、「支持」が急落し「不支持」が急上昇している。原因は新型コロナの大失策。感染が拡大しているのに、GoToトラベルキャンペーンを続行し、感染が加速、医療現場がひっ迫した。そこで、2020年12月14日に、キャンペーンを停止したが、あとの祭り。都心部を中心に医療崩壊が始まった。新型コロナに感染しても、病床が満杯で、入院できない。自宅待機を強いられ、多くの人が死んだ。さらに、救急車で搬送されても、病院に受け入れてもらえず自宅に逆戻り。そのまま死んだ人もいる。日本とは思えない惨状だ。

政府分科会や専門家たちは、年末年始にそなえ、早い段階でGoToトラベルを停止するよう進言していた。それを無視して続行した結果がこれだ。しかも、11都道府県への緊急事態宣言も遅きに失し、医療崩壊をおこしてしまった。2月に入っても解除のめどが立たず、政府に対する批判が後を絶たない。内閣支持率が急落して当然だろう。

■知力が欠落した政権

菅内閣の失政は、思考と行動の源「知」に起因する。

経済は大事・・・そりゃそうだろう。生活が苦しくなるから、あたりまえ。中学生でもわかりますよね。

だが、その代償が「医療崩壊=国民の大量死」なら論外だ。国民の命と金儲けどっちが大事ですか?モノゴトの優先順位もつけられないわけだ。これは「基本知能」の欠落を意味する。早い話、「読み書きソロバン」も怪しい。

もしそれがリーダーなら、重大な結果をまねく。同時に多くの問題が発生したら、優先順位がつけられない、論理的に考えられない、損得が計算できない、そもそも判断基準が存在しない。だから、行きあたりばったり、愚策を連発する。もし国政なら、経済も生活も大混乱、国民の命まで危険にさらされる。それが、今日本でおきている現実だ。

さらに、基本知能の欠落は、別の問題もひきおこす。モノゴトを俯瞰できないから、バランスが悪く、不公平が多発する。早い話「差別」が生まれるわけだ。たとえば、新型コロナに直撃された経済は、旅行業・飲食業だけではない。苦しい業界はたくさんある。ところが、「GoToトラベル」一色。

なんで?

どの業界も、税金を納めているのに、税金を使うのは旅行業・飲食業だけ?

おかしくないですか?

たとえば、演劇。市場は小さいが、熱心なコアユーザーに支えられている。さらに、作る側には、多種多様な職種がかかわる。脚本家、演出家、さらに、美術、音楽、照明、大道具・小道具、衣装。広告やチケット販売も欠かせない。ところが、新型コロナで食べていくのが難しくなった。この状況が続けば、仕事を変えるしかない。とはいえ、新型コロナが収束したらすぐに再結成、とはいかない。別の仕事をしているから、すぐに戻れないのだ。さらに、専門性が高いので新規採用も容易ではない。

職業俳優による演劇は、17世紀のイタリアで始まった。即興劇「コメディア・デラルテ」である。諸国を放浪する旅芸人が、町の広場や居酒屋で、喜劇や軽業(かるわざ)、楽器演奏を披露する。明るく庶民的なエンターテインメントで、仰々しい古代ギリシャの演劇や、陰鬱な宗教劇とは一線を画す。というわけで、演劇は長く古い歴史を持つ。しかも、一度中断すると、復活は難しい。

■公平な新型コロナ支援政策

旅行業・飲食業と演劇は、市場規模が違うが、共通点がある。みんな納税していること。であれば、国の支援も公平であるべきだろう。ということで、GoToトラベル、GoToイートがあるなら、GoTo演劇も!

ちょっと待て。苦しい業界は他にもあるぞ!

じゃあ、そこもGoTo・・・

ん~、これ全部、税金ですよね。キリがない。

ケチをつけるのは誰でもできる。そこまで言うなら、具体策を!

消費税をゼロにし(公平)、売上激減の業者に、利子だけ返済する長期融資をする(公正)。その資金で感染防止対策をするか、商売を変えるかは自由。ほとんど貸し倒れになるだろうが、感染拡大で国民が大量死するよりマシ。すべての国民に公平とはいかないが、GoToトラベルよりは公正だろう。

というわけで、菅内閣の一番の問題は、知力が不足していること。そのため、モノゴトの優先順位がつけられず、「飲食業・旅行業>国民の命」で国民の大量死を招き、一方、俯瞰もできないから「旅行業・飲食業>他の業種」で、業種差別を生んだ。

ちょっと待て、どっちも、飲食業・旅行業が第一じゃん。

知力の問題ではなく、確信犯では!

自民党の有力議員が全国旅行業協会の会長なので・・・はすでに周知の事実。国民をバカにしている?

東大合格を目指したAI「東ロボくん」の開発リーダー、新井紀子さんが面白い発言をしている。

「ポピュリズム(大衆迎合政治)が始まったのは、小泉政権のときだったと私は思っているのです。小泉さんは国民の『論理で考える力』が相当崩壊していることを見抜いた。昨今の政治状況をみていると、国民はあのときよりもっと見くびられているんじゃないでしょうか」(※)

でも個人的にはこう思っている。政府は知力が不足し、その頭で国民を見くびっている。

■医療崩壊の原因①GoToトラベル

GoToトラベルキャンペーンは、国民の生命を奪い、業種間に差別を生んだだけではない。医療従事者に対し、重大な「不公正」を押しつけたのだ。

新型コロナの治療に携わる医療従事者は、GoToトラベルはおろか、会食もままならない。ところが、自分が納めた税金がGoToトラベル(遊び)に使われ、さらに感染が拡大し、患者が次々と病院に担ぎ込まれる。つまり、自分が納めた税金が、自分の首を絞めるのに使われているわけだ。こんな理不尽はないだろう。

だから「GoToトラベル→医療崩壊」は不公正の極み。そもそも、感染拡大に税金を使う国は日本ぐらいだろう。正気の沙汰とは思えないが、その結果は悲惨だ。新型コロナの死者数は、2021年2月に7000人を突破した。すべてがGoToトラベルのせいではないが、増加に加担したことは間違いない。一方、交通事故の年間死者数は2839人(2020年)。つまり、新型コロナの死者は、悪名高い交通事故の死者を凌駕しているのだ。

GoToトラベルキャンペーンの罪はかくも重い。ところが、医療崩壊をまねいた原因は他にもある。

冷静に考えてみよう。

日本は、世界一医療資源が豊富な国だという。話半分にしても、世界有数の医療大国だろう。ところが、2021年2月、日本とは桁違いの感染者・死者を出している米国やインド、ブラジルでも、医療崩壊はおきていない。

なぜか?

話はカンタン、日本は医療資源をフル活用していないのだ。

日本の病院は、20%が公的病院、80%が民間病院である。しかも、首相や知事が指示命令ができるのは公的病院のみ。民間病院は日本医師会、その傘下の都道府県医師会の指揮下にある。つまり、大多数の80%の民間病院に指示命令できるのは医師会なのだ。現在、新型コロナの治療は、公的病院と一部の民間病院しか行っていない。

ではなぜ、医師会は民間病院に新型コロナの患者を受入れるよう指示しないのか?

設備やスタッフが不足しているから?

公的病院はすでに医療崩壊が始まっている。そんなことを言っている場合ではないだろう。今は、国民が大量死に直面する未曾有の国難。政府と医師会は連携し、医療資源を最適分配し、一人でも多くの人命を救うべきだろう。

ではなぜ、そんな当たり前のことができないのか?

■医療崩壊の原因②活用されない民間病院

日本医師会の中川会長は、2021年1月20日の会見でこんな発言をしている。

「現在、緊急事態宣言地域を中心に、医療崩壊が多発し、日常化してきました。これが面で起こると医療が壊滅状態になります。現状のままではトリアージもせざるを得ない状態です」

「トリアージ」とは治療のリソースが足りないので、治療する人としない人を選別する、いわば「命の選択」だ。そりゃあ、大変だ。こんなときに、旅行、外食している場合じゃない!

ちょっと待った。

民間病院が、積極的に新型コロナの患者を受け入れればいいではないか。すべての病院はムリだろうが、キャパが増えて、医療崩壊とトリアージが減ることは間違いない。

事実、欧米諸国は、2020年、深刻な医療崩壊におちいったが、臨時の医療施設をガンガン増やして、医療崩壊を解消している。他の国でできることが、日本にできないはずがない。そもそも、日本はすでに豊富な医療資源を持っているではないか。

最近、この不都合な真実を指摘する声があがっている。

元厚労省医系技官の木村もりよさんは、中川会長の会見に対し、こんな発言をしている。

「医療キャパシティーを増やすのに大変だから、飲食店や国民が犠牲になればいい、とか、そういう上から目線で話している」

京都大学の藤井聡教授は、物流業界や電力業界も切迫していることを例にあげ、こう発言。

「医療業界以外、こんな上から目線でこんな言い方しない。医療業界だけが(上から目線を)許されている、ってのは本当に憤りを感じる」

さらに、菅首相のブレーンの一人デービッド・アトキンソンもこう言っている。

「世界では日本と桁違いの流行がおこっているのに、医療崩壊は起きていない。国難にあって、国民の命にかかわる以上、従わなければ罰金、あるいは医師免許剥奪、最悪、病院の没収など、強制力のある罰則を設けるべきだ」

つまりこういうこと。

日本医師会の中川会長は、公的病院の逼迫を緩和するために、民間病院をいかに活用するかではなく、国民に外出・移動自粛を訴えたのである。つまり、国民の生活と経済を犠牲にし、民間病院を温存したのだ。これほど重大な不公平はないだろう。

今、日本では二重の不公平がおきている。

医療業界とその他業界の不公平。さらに、医療機関内部の不公平だ。公的病院と一部の民間病院は、命懸けで新型コロナに立ち向かっている。ところが、大多数の民間病院はわれ関せず。民間病院でも、公的病院を上回る設備と人員をもつ病院は少なくない。多少ムリをしてでも協力するべきだろう。公的病院では医療崩壊が始まっているのだから。

というわけで、今の日本は、みんな自分のことしか考えていない。こんな時だから、人のことなんか知っちゃいねぇ~、が現実と割り切る人もいるだろう。だが、トップリーダーがそれでは困る。国全体が崩壊するから。この非常事態に、性善説をかかげ、お願いに徹する為政者の気が知れない。リーダーとしての責任も覚悟もないわけだ。

こういう国難にあっては、政府は性悪説を前提に、政策を断行する勇気と行動力が必要だ。じつは、それができている国もある。お隣の中国と台湾だ。強権主義と民主主義、手法は逆だが共通点がある。性悪説に基づき、感染を徹底的に管理し、封じ込めていること。だから、結果が出ているのだ。

お隣ができているのに、日本はなぜできないのか?

トップリーダーの執念と覚悟!

そんな上等な話ではない。それ以前に、基本知能、読み書きソロバン。あと、私利私欲に走らない最低限の倫理・・・悲しい。

では、われわれ国民は何をなすべきか?

政治家の言動を精査し、投票に行こう!

参考文献:
(※)AIの壁、人間の知性を問いなおす(PHP新書)養老孟司(著)

by R.B

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