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週刊スモールトーク (第274話) 出世したくない!それで人生成立しますか?

カテゴリ : 社会

2014.11.29

出世したくない!それで人生成立しますか?

■出世

人生、長いこと生きていると、いろんなものが見えてくる。

そのひとつが「出世」。

30代で課長、40代で部長、50代で取締役 ・・・ という月並みな話ではなく、リアルに「出世」すること。

というのも、本来、「出世」とは、読んで字のごとく「世に出る」こと。だから、本当は、サラリーマンや公務員のような「勤め人」はあてはまらない。タレント、スポーツ選手、作家、起業家など、組織や団体に隷属せず、自力で富と名声を勝ち得た人だろう。

とはいえ、学校なら校長、サラリーマンや公務員なら部長になれば「出世」したと言えるかもしれない。また、官僚や医者や弁護士なら、それだけで「出世」とみなす人もいるだろう。早い話、厳密な定義はないわけだ。

ところが ・・・

今どき、出世に執着する人はいない(らしい)。

最新のアンケートによれば、若い世代は、出世より家庭や趣味を大切にするという。腑に落ちすぎて、うのみにできないが、実際、昇進を断った人を見たことがある。上司の姿を見て、あんな苦労はしたくないという。

というのも、最近の管理職は、ほとんどがプレイングマネージャー。

野球でいえば、選手兼監督で、仕事の量がハンパではない。プレイヤーをやりながら、部下を指導し、部や課を管理・運営するのである。だから、要求されるスペックはハンパではない。しかも、目標達成の結果責任もついてくるので、ストレスも桁違い。

では、給料も桁違い?

とんでもない、というか、主任の方が高いかも(管理職は残業手当がつかないので)。

やっとれん ・・・

それなら、結果責任のない主任の方がマシ、という意見も的外れとはいえない。

さらに、出世する、しない以前に、

「仕事がイヤなら、会社辞めたら?『石の上にも三年』なんて無責任なことを言う年寄りもいるけど、心と身体を壊したら、元も子もないじゃん」

という意見もある。こっちも的外れとはいえない。

■「ブラック」な世界

さらに、こんな風潮を助長するのが、「心の病気」と「ブラック企業」だ。どっちも現代の世相を象徴するビッグワードで、後者は流行語大賞に選ばれたほど。

ちなみに、「ブラック企業」とは ・・・

セクハラ、パワハラ、偽装請負、違法行為は数知れず、サービス残業で社員をこき使ったあげく ・・・ 過労死 or 自殺。

いやはや ・・・

こんな極悪非道の悪徳会社をブラック企業とよんでいる。2012年には、「ブラック企業大賞」も設立され、認知度も急上昇している。もちろん、選ばれるのは大手企業。名の知れた企業ほど、パッシングで盛り上がるからだろう。場末のスナックで、ホステスをサビ残でこき使って、過労死させても、誰も見向きもしないから。

さらに、「ブラック」は企業だけではない。「ブラック社員」、「ブラック地域」まで存在する。

ブラック地域?

分かりやすいのが、「田舎」の反対言葉としての「都会」。

たとえば、ソフトウェアの仕事は、90%が東京で発生する。大阪と名古屋で5%、その他5%という感じ。もちろん、ビジネスだけではなく、政治も文化も東京に集中している。

結果 ・・・

ヒト・モノ・カネの一極集中が起こり、東京は灼熱のコンクリートジャングルと化した。ちなみに、東京の人口密度は、1平方キロ当たり6017人。今住んでいる金沢市は992人、東京の1/6に過ぎない。それでも繁華街に入ると、窮屈な感じがする。

だから、東京に出張するときは、気合いが必要だ。新幹線で東京駅に入るときに眼下に広がる町並みは、見ていて息が詰まる。通勤時間に遭遇しようものなら最悪だ。貨物車に詰め込まれた荷物のようなもの、しかも、よくみると、「取り扱い注意!」シールが貼られてない ・・・ 人間の尊厳とかはどこへ行ったのだ?

さらに、道路は渋滞と騒音、町中は悪臭が漂っている(みんな臭わないのかな)。それに拍車をかけるのが「PM2.5」だ。中国から風に乗って飛んでくる有害物質らしいが、なぜか、首都圏の濃度が高い。中国だけでなく、「東京」にも原因があるのかな。

というわけで、TVも雑誌もネットも「田舎に引っ越そう!」が一つのトレンドになっている。

田舎は、空気も水も食べ物もうまい。それに、山、川、田んぼ、美しい自然、人間を害するものが一つもない。それだけで、安心、安心、都会のストレスなんか飛んでけぇ~。

だから、つまらないプライドは捨てて、田舎に引っ越して、農業、ペンション経営、石垣島なら、スキューバーダイビングのインストラクター。自然と共生して、マッタリ生きよう ・・・

これこそが、あるべき人生!

では、あるべきでない人生とは?

「都会」の「ブラック企業」で働くこと。

満員電車にすし詰めにされ、馬車馬のようにこき使われ、身と心をむしばまれ、家族と世間体のために働いて、人生を終える。

一度キリの人生、それでいいのですか?

なるほど ・・・

人生の本質が見えてきたぞ。頭を切りかえなくては ・・・

でも、ちょっと待った。

それで、結婚して、家庭をもてるの?

老後は大丈夫?

現実の話をしよう。

■正社員の価値

気に入らない仕事はしたくない、人間関係で悩みたくない、長時間労働もサービス残業もイヤ ・・・ それがかなうなら、給料は安くてかまわない。

たしかに ・・・

でも問題は、給料がどれくらい減るか、である。

その給料で食べていける?

老後の年金生活は成立する?

もったいぶらず、結論からいこう ・・・

仕事が選べる派遣社員、完成責任のないアルバイトを、1年でも続けると、正社員への道は閉ざされる。結果 ・・・ 40歳で年収200万円も夢ではない(悪夢)。

年収200万円 ・・・ 一人なら、食っていけるだろうが、家族をもつとアウト。さらに、老後が成立しない。給与が少ないので、納める社会保険料も少なくてすむが、そのぶん、年金も減る。月額10万円にもならないだろう。つまり、働けなくなった時点で ・・・

だから、無責任な風潮に流されず、最初から正社員で働く。それがダメなら正社員を目指して努力する。そして、一旦正社員になったら、しがみつく。それが、人並みの人生を送る最低条件なのだ。

一方、そんなのあたり前じゃん、と自覚している若者も多い。

たとえばキャバクラ(トートツですね)。

プライベートでは行かないが(ホントだぞ)、最近、接待の二次会はほとんどがキャバクラ。ラウンジと違って、女の子が20分でチェンジするので、お客さんが飽きないのだ。接待するお客さんは一見さんが多いので、お気に入りのホステスがいるわけではない。だから、接待なら、ラウンジよりキャバクラがいいわけだ。

そんな夜の街で、気づいたことがある。

昼間も働いているホステス(キャバ嬢)が意外に多いのだ。昼の仕事は、資質を活かしたモデル、コンパニオンが多いが、総務・経理の事務職、パティシエ、家具職人などコアな専門職も少なくない。

しかし ・・・

昼も夜も働くとなると大変だ。そこで、こんな会話が繰り返される ・・・

「睡眠時間は?」

「3時間寝れたらいいほうかな」

8時間寝ている自分が恥ずかしい、と言うつもりはゼンゼンないが、電動鉛筆削りで寿命を削っているようなもの。免疫力も低下しているので、病気にもなりやすいだろう。そんな苦労もおくびにも出さず、明るく振る舞う彼女たちを見ていると、マジで凄いと思う。

では、彼女たちは、なぜそこまでして、昼間の仕事に執着するか?

ホステスを辞めたときに困るから。

実際、30歳超のキャバ嬢は見たことがない(ラウンジは別)。

とはいえ、子供を抱えた主婦兼会社員なら、睡眠時間3時間~5時間はザラ。というわけで、女性は働き者だ。現実的で、生活力があって、たくましい。ほんとうに頭が下がる。

ところが、男ときたら ・・・ 生きがいとか、男のロマンとか、アホなことを言ってるから、綱渡りの人生になるのだ(人のことは言えないです)

■田舎暮らしの真実

田舎暮らしに話をもどそう。

じつは、田舎が悪いと言っているわけではない。そういう自分も、東京からUターンした口だから。

とはいえ、農業とか、ペンション経営とか、「健康的な田舎暮らし」をしているわけではない。今どきのデジタルコンテンツ制作会社だ。

ただし、地場企業ではない。仕事はすべて東京の大手企業から受注している(早い話が下請け)。

なぜか?

地方の仕事は単価が安いから(身もフタもない)。

たとえば、ソフトウェアエンジニア。

40歳前後のSE(システムエンジニア)は、大企業なら800万円~1200万円だが、地方なら400万円~500万円。つまり、地方は東京の半分、マジか!

マジです。

というのは ・・・

地方で発生するソフトの仕事は、単金が安い。ここでいう単金とは「1人月」、つまり、1人が1ヶ月働いてもらえるお金。

じつは、地方のソフト会社はフリーのプログラマーと契約しているところが多い。フリーなら、1人月30万~40万円なので、地方で発生する仕事はこの金額にあわされてしまう。そうなると、会社で請けるのはムリ。1人月30万円なら、管理費を引くと、社員に払える給料は20万円にもならないから。会社として請けるには、最低1人月60万円は必要だろう。

つまり、まともな給料を払うには、東京の大手企業から受注するしかないわけだ。

そんな状況を反映してか、

「金沢の勝ち組・負け組の境界は年収500万円」

といわれている。もちろん、勝ち組は「大手から受注できる」会社の「正社員」。

ところで、年収500万円で暮らしていけるの?

結婚して、子供が一人か二人、奥さんがパートに出ているなら、なんとかなるだろう。

田舎でも500万円でキツイ?

イエス!

というのも、田舎でも核家族化がすすみ、たいてい家のローンを抱えている。さらに、地方は自動車は必需品。奥さんと自分の車2台分の買い換えが、5年~10年ごとに発生する。しかも、毎年、自動車保険料もかかる。だから、田舎暮らしだから安上がりとは限らないのだ。

さらに、忘れてならないのは、「500万円」は勝ち組のボーダーラインということ。金沢市の世帯年収の平均値でも中央値でもないのだ。つまり、「年収500万」未満の世帯が圧倒的に多いのである。

つまり ・・・

住んでいる場所が、木にリンゴがたわわになるエデンの園か、親が金持ちでない限り、人並みの人生を送るには、

「大手から受注できる会社の正社員」

が最低条件なのである。

最低条件?

まだ、他に何かあるの?

普通に「出世」すること。さもないと、人生の後半で失速する。

とはいえ、職業も重要だ。

ということで、まず、身の丈に合った仕事を選び、普通の出世を目指そう。そうすれば、贅沢はできないが満ち足りた人生が送れる(と思う)。

by R.B

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