BeneDict 地球歴史館

BeneDict 地球歴史館
menu

週刊スモールトーク (第267話) なぜ日本だけが侵略戦争と言われるのか?

カテゴリ : 戦争歴史

2014.09.13

なぜ日本だけが侵略戦争と言われるのか?

■歴史のウソ

歴史の定説はじつは大ウソだった・・・はよくある話。

その中には・・・すでにウソとバレたもの、まだウソとバレていないもの、ウソはバレバレなのに世間では衆知されていないもの・・・の3つがある。もちろん、ストレスが溜まるのは3番目。ウソだと分かっているのに、誰も信じてくれないのだから。

一方、限りなくウソっぽいが、ホントかも?というのもある。たとえば、「シュメール宇宙人説」。現在、人類(ホモ・サピエンス・サピエンス)は、500万年前に類人猿から分岐したと考えられている。ところが、この2つをつなぐ生物種が特定されていないのだ。そのため、「失われたつながり」という意味で「ミッシング・リンク」とよばれている。そこで、アメリカの著作家ゼカリア・シッチンは閃いた!「ミッシング・リンク」を解く鍵はメソポタミア神話の中にあると。

シッチンの説によれば(※1)・・・紀元前4000年、惑星ニビルの統治者アヌ(メソポタミア神話の神々の王)は、地球に基地を建設し、金を採掘するよう命じた。ところが、採掘作業をやらされたアヌンナキ(メソポタミア神話では神々の総称)は不満タラタラだった。肉体労働がウンザリだったのである。神が力仕事というのもヘンな話だが、人間から見たら神なのであって、実際は”平凡な”宇宙人に過ぎないので。

そこで、エンキ(メソポタミア神話の創造神エア)は、アヌナンキに代わる労働者を創ることにした。地球の東アフリカに生息する猿人に、アヌンナキの遺伝子をくわえ、「合成労働者」を創造したのである。この人造人間は生殖能力がなかったが、改良を重ねることで、完全なモデルが完成した。それが「アダム」である。ちなみに、シッチンによると、ニビルは太陽系内を周回する惑星で、軌道は超楕円で、周期は3600年だという(ただし、発見されていない)・・・

マジか、と深刻に考える必要もないが、一笑に付すのももったいない。つじつまは合ってるし、ネタとしては面白いから。とはいえ、物的証拠はないし、「フリンジ(疑似科学)」の臭いがプンプンする。ところが、敬虔なキリスト教徒や気難しい科学者から集中砲火をあびたという話も聞かない。ウソだろうが本当だろうが、誰も迷惑しないからだろう。

ところが、ウソで迷惑する人がいたとしたら、シャレではすまない。たとえば、ダーウィンの進化論。1859年、イギリスの生物学者チャールズ・ダーウィンは「種の起源」を発表した。有名な「ダーウィンの進化論」である。難しい話はさておき、この理論は生物学にとどまらず、社会に大きな影響をおよぼした。勝ち組・負け組を決める大法則・・・「強い者が生き残るのではなく、環境に適応した者が生き残る」を暗示したからである。早い話、「自然淘汰・適者生存」なのだが、国、企業、組織、人間、あらゆる事物に適用できることがわかっている。

たとえば、新しいミレニアムを迎えた西暦2000年、グーグルは吹けば飛ぶようなベンチャー企業だった。ITの王者マイクロソフトがその気になれば、一ひねり・・・ところが、あれから15年経ってどうなったか?グーグルはIT業界の頂点に立ち、マイクロソフトの支配力は低下するばかり。理由はカンタン・・・2000年以降、ITの環境が激変したのである。スタンドアローン・コンピューティングからインターネット・コンピューティングへ。この環境にいち早く適応したのが、グーグルだった。というわけで・・・ダーウィンの自然淘汰・適者生存は、社会の普遍的ルールといっていいだろう。

ところが、そのダーウィンの進化論が盗作だったとしたら・・・じつは、ダーウィンは、アルフレッド・ウォレスという在野の研究者が書いた論文を拝借したのである。ただし、理化学研究所・STAP細胞で話題の「コピペ」ではない。ロジックだけ盗作して、表現は変えたのである。だから、著作権は侵害していない(コピペの方が清々しいかも)。とはいえ、ダーウィンの進化論の「内容」がウソというわけではない。だから、ウォレスにとっては迷惑な話だが、社会にとって大きな影響はないわけだ。しかし、「内容」がウソだったら・・・事は重大である。

■戦争犯罪

日本の安部政権が、「集団的自衛権の行使」を閣議決定するや、予想通り、中国と韓国がかみついた。集団的自衛権は国際法上認められた権利なのに、なぜ、文句を言われなければいけないのか?いつもの嫌がらせ?それはそうなのだが、一応、根拠もあげている。これを機に、日本が軍国主義、侵略戦争に突き進むというのだ。そりゃあ、日本じゃなく、そっちでしょうが、と反論したいところだが、傍目で見ると、どっちがバカか分からなくなるのでやめとこう。

では、日本は軍事がからむと、なぜ、非難をあびるのか?「第二次世界大戦の責任は日本とドイツにある」が世界の常識だから。実際、ドイツはニュルンベルク裁判で、日本は極東軍事裁判で、戦争指導者から一兵卒にいたるまで、戦争犯罪で裁かれている。戦争犯罪?じつは、「戦争犯罪」の定義は、国際的なコンセンサスがとれていない。ムリクリあげれば、「平和に対する罪」と「人道に対する罪」というところだろう。前者は侵略戦争を仕掛けた罪、後者は捕虜を虐待したり、民間人を虐殺した罪である。もちろん、「人道に対する罪」は、戦争ならどこの国でもやっている。

日本とドイツを裁いた連合国も例外ではない。アメリカ・イギリス空軍のドイツの古都ドレスデンの無差別爆撃、アメリカ空軍の東京大空襲、広島・長崎の原爆投下・・・それぞれ、民間人10万人以上が虐殺されている。もちろん、これを非難するつもりはない。戦争は命の取り合い、やらないと、こっちがやられる。民間人を大量虐殺するのは、敵国の戦意を喪失させ、早く戦争を終わらせるためである。事実、日本空爆の総責任者カーチス・ルメイ将軍はこう言い切っている。

「我々は日本と戦争をしている。日本人を殺したいか、それとも、アメリカ人が死ぬほうがいいのか?」

反論の余地なし、殺られる方の日本人でも。

もっとも、目的も理由もない、ただ獣心を満たすだけの殺戮もある。たとえば、”日本が降伏した後”の1945年8月25日、満州で起きた佐渡開拓地事件。三江省勃利県にあった佐渡開拓団跡に、5800人の日本の開拓団が集結していた。そこへ、ソ連戦車部隊が押し寄せ、人間を戦車で踏みつぶし、銃撃と砲撃で殺戮したのである。死者は3700人から5700人、ほぼ全滅したと考えられている(※3)。では、日本軍(関東軍)は、なぜ民間人を助けなかったのか?当時の関東軍は戦車ゼロ、小銃を持たない兵も多数いた。そこで、体に7~10キロ爆弾をまきつけて、ソ連軍の戦車に体当する肉弾戦を繰り広げていた。陣地を守るので精一杯で、民間人を守る余裕などなかったのである。しかも、この日ソ戦争は日本が仕掛けたわけではない。ソ連が中立条約を一方的に破って、宣戦布告したのである。

だから、日本が戦争を仕掛けなければ大丈夫、は妄想なのである。最近の中国の言動をみれば明らかだが。ゆえに、軍隊は強くなければならない。しかも、最強でなければ意味がない。1945年8月、戦車に蹂躙されながら逃げまどう日本開拓団は心からそう思ったことだろう(婦女子もたくさんいた)。

では、「平和に対する罪」、つまり、日本は侵略戦争を行ったか?侵略戦争の定義は「侵略目的で行う戦争」だが、これで納得できる人はいないだろう。ちなみに、侵略戦争の反対言葉は自衛戦争だが・・・自国を防衛するための戦争。抽象的で、あいまいで、いいかげん、戦争の定義なんて、こんなものなのだ。

そして、最近、さらに話をややこしくする事件が起きた。2014年6月11日、中国機Su-27が自衛隊機に異常接近し、ロックオンしたのだ。ロックオンはミサイル発射と一対の行為なので、攻撃されたに等しい。たとえて言うなら、ビールの栓を抜くようなもの。栓を抜いて、そのまま放置することはありえない。ジョッキに注ぐか、そのまま喉を潤すか。つまり、不可分の行為なのである。そのため、ロックオンされたら、すぐに反撃しても正当防衛とみなされる。

では、この時、自衛隊機が先制攻撃していたら?自衛隊が先制攻撃したのだから、日本の「侵略戦争」?それとも、中国機が「ロックオン=先制攻撃」だから、日本は「防衛戦争」?じつは、これを「予防戦争」とよんでいる。まだ攻撃されていないが、攻撃されたも同然なので、先制攻撃しても、「侵略」ではなく「予防」とみなされるわけだ。言葉をかえれば、正当防衛。なるほど・・・でも、「予防戦争」を認めれば、たいていの先制攻撃は正当化できる。

たとえば・・・日本は、次期主力戦闘機を「F-35ライトニングII」に決定した。あんな強力な「ステルス」機能をもつ戦闘機を配備するのは、”こっそり(ステルス)”侵略するつもりに違いない。侵略の意図は見え見えだから、先制攻撃しても「侵略」ではなく「予防」になるはず。なら、先にやっちまえ!つまり・・・予防戦争の口実をでっちあげるのはカンタン。つまり、予防戦争を認めた瞬間、侵略戦争と防衛戦争の線引きは意味がなくなる。

そもそも、「侵略戦争or防衛戦争or予防戦争」は言葉の遊びに過ぎない。そんなものを決めたところで、侵略したい国は、必ず侵略する。そして、殺戮と破壊の恐るべき災いが降りかかるのだ。それが侵略だろうが、防衛だろうが、予防だろうが、関係なく。それに、もっとおかしなことがある。

過去に「侵略戦争」を行ったと認めているのは、日本とドイツだけ。「侵略戦争」が何であるかはさておき、人類1万年の歴史で、日本とドイツの戦争だけが例外中の例外!?ありえん・・・ただ、日本とドイツには共通点がある。第二次世界大戦で負けたこと・・・まぁ、そういうことなのだ。

■旧社会党と日教組

それにしても、こんなあいまいな言葉の遊びで、悪者よばわりされてはたまらない。それも、中国や韓国ならいざしらず、当事者の日本人まで受け容れているのだから、不思議な話だ。では、なぜこんなおかしなことが起こるのか?日本は、経済と技術は一流だし、安倍政権下で、政治・外交も並の国になりつつある。しかも、民意も教育水準も高い。それが・・・

「歴史上、日本とドイツだけが侵略戦争をしました、だから悪い国です、何を言われても文句は言えません」

なんでこうなるの?じつは・・・日本の民意と教育水準は言うほど高くないのだ。いえいえ、マナーは良いし、気遣い最高、おもてなしも最高!でも、理不尽なことを言われてもやられても、ペコペコ、ヘラヘラ、これで民意が高いと言えるだろうか。そもそも、こんな人間を信用できますか?

それに・・・何をされても、実力行使しない日本は、中国や韓国にしてみれば、アホにしか見えないだろう。それなら、やれるだけ、やっちまえ!と考えるのが当たり前。その積み重ねが、現在のいびつな日本・中国・韓国の関係なのである。日本は歴史の古い国である。2000年にわたって、独自の文化を築いてきた。その中で築き上げられた民意は、「誇り」もあれば「理」もあった。

ところが、第二次世界大戦の後、民意は一変し、卑屈になっていく。それを主導したのが旧社会党と日教組(日本教育労働者組合)だった。旧社会党と日教組には面白いほど共通点がある・・・「日の丸」反対、「君が代」反対、「靖国」反対、「皇室」反対、政府のやることみんな反対、あげく、親中国、親韓国・・・そんなに日本がイヤなら、日本国籍を捨てたら?中国か韓国に移住したらいいだろう。

共産党も「何でも反対」に見えるが、じつは、意外に芯がある。マルクス・レーニン主義は危険で恐ろしい思想だが、筋は通っている。しかし、旧社会党と日教組には「背骨」がない。うつろで、場当たり的で、大衆迎合の日和見主義なのだ。太平洋戦争で負けた日本は、アメリカ主導のもと、戦争の全責任が日本にあると認め、戦前の日本をすべて否定した。それが、先の「日の丸反対」、「君が代反対」・・・なのである。それに便乗したのが、旧社会党と日教組だった。結果、中途半端で大衆迎合的な社会主義と、初めから「日本は悪」と決めつけたいびつな教育が、日本人の民意を劣化させたのである。

大げさ?

では、例を示そう。中国の大連で生まれ育ち、戦後、満州から引き揚げた歌人の来嶋靖生はこう書いている(※2)・・・

(1945年)8月22日、ソ連軍が進駐してきた。敗戦後、大連にまず進駐してきたのはヤマノフ少将率いる囚人部隊で、いたるところで、暴行略奪が行われた。髪をきって男装した女性も少なくない。進駐してきたソ連兵は未開人同然で、時計がめずらしく、左右の腕に2個も3個も巻いて喜んでいるという。一時休校だった学校は、9月中旬から、再開された。翌21年8月には、大連一中と二中は合併になり、大連日僑中学校第一校と改称された。この間の著しい驚きは公民という授業における、二中の先生のM教諭の態度であった。今までの日本の教育を批判するのはいいとして、口を極めてソ連ならびに共産主義を讃えるのだった。二中からきた友人によると、敗戦のその日まで、「聖戦完遂、米英撃滅」と呼号していた一人という。私たちはM教諭とそれに追随する教師たちに対して、激しい憎しみを抱いたものである・・・

日本の戦後教育を象徴するような出来事である。M教諭とそれに追随した教師は、「私は常に強い者の味方だ」という恥も外聞もない醜悪な正体を、子供に見抜かれたことを恥じるべきだろう。こうして、日本人の民意と知識は、旧社会党と日教組によってねじ曲げられた。戦後の日教組の歴史教育が「自虐史観」とよばれるのはそのためである。もちろん、いびつな民意と知識では真実が見抜けない。それが一番の問題なのだが。

■日本は侵略戦争をしたか?

ここで、日本は侵略戦争をしたか?を思考実験してみよう。もちろん、白黒ハッキリさせることが最終目的ではない。そもそも、予防戦争を認めれば、侵略戦争も防衛戦争もないので。とはいえ、歴史イベントを時系列に並べたところで、退屈な歴史の教科書ができあがるだけ。そこで・・・日本の戦争は侵略戦争だったかを、500年の「歴史の因果律」から考察する。もちろん、「先制攻撃=侵略戦争」のような単純な発想も、旧社会党と日教組の「何でも日本が悪い」的な決めつけもしない。

では、まず、戦争の定義から・・・戦争とは「外交の破綻」、行き着くところ、爆発である。だから、引き金と火薬が必要だ。たとえば、第二次世界大戦の引き金を引いたイギリス首相チェンバレン、太平洋戦争の引き金を引いたルーズベルトは、戦争の直接原因といっていいだろう。とはいえ、引き金を引いても、火薬がなければ何も始まらない。では、火薬とは?戦争を発火させ、継続する力である。見方を変えれば、地政学に依存する国家戦略の衝突によって蓄えられるマグマ。だから、国家戦略の始点を見つけて、戦争までたどれば、戦争の因果律が見えてくる。それが「火薬」なのである。

そして、ここが肝心なのだが、戦争の因果はとてつもなく長い。たとえば、太平洋戦争の因果の始点は、イギリス移民が北アメリカのプリマスに上陸にした1620年までさかのぼる。その後、アメリカ合衆国が建国され、西部開拓時代が始まった。イギリス人、いやアメリカ人が、東から西へ、先住民のインディアンを殺戮しながらアメリカ大陸を征服した時代である。それが、太平洋戦争につながるのである。

ただし、イギリス人は、偶然、北アメリカにたどり着いたわけではない。コロンブスのアメリカ大陸発見により、大陸の存在はすでにヨーロッパに知られていたのである。一方、日清戦争、日露戦争、日中戦争の始点は、19世紀の「帝国主義」の時代にさかのぼる。ヨーロッパ列強・アメリカ合衆国・ロシアが植民地獲得のため、世界に乗り出した時代である。もちろん、世界に乗り出すためには、「太平洋と大西洋の航海」が欠かせない。だから、大航海時代がなければ、「帝国主義」は歴史年表から消える。さらに、ペリーの「黒船来航」もない。その結果、日本は徳川時代と鎖国が延々と続いていただろう。

つまり、大陸をまたぐ大戦争は、すべて「大航海時代」に帰着する。というわけで、日本の近代の戦争も「大航海時代」なくして語れない。そこで、近代日本が戦った4つの戦争の原因を、大航海時代までさかのぼってみた。そこから、戦争に至るまでの国家戦略の衝突にフォーカスするのである。すると、意外な真実がみえてきた。

まずは、日清戦争の原因、つづいて、日露戦争の原因、日中戦争の原因を検証する。

参考文献:
(※1)「失われた王国―古代「黄金文明」の興亡と惑星ニビルの神々」ゼカリア・シッチン著竹内慧訳/徳間書店
(※2)満州の記録・満映フィルムに映された満州集英社(※3)満州帝国の光と闇・建国80年目の真実徳間書店

by R.B

関連情報