BeneDict 地球歴史館

BeneDict 地球歴史館
menu

週刊スモールトーク (第264話) 集団的自衛権Ⅱ~日中同盟~

カテゴリ : 戦争

2014.08.13

集団的自衛権Ⅱ~日中同盟~

■中国の野望

日中同盟 ・・・

なんともリアリティのない響きだ。

何かの皮肉か、反日パロディか、あるいは、誰も書かない歴史改変SFとか ・・・

というのも、近代以降、日本と中国は戦争しかしていない。小規模な戦闘は数知れず、本格的な戦争だけでも ・・・

1.日清戦争(日本 Vs 清国):1894年~1895年

2.日中戦争(日本 Vs 中華民国):1937年~1945年(8年間!)

ほぼ50年に1回のペースで戦争をしている。このままいくと、

3.日中尖閣諸島:20XX年~

かもですね。

現在、中国の領海侵出は、東シナ海(尖閣諸島)にとどまらない。遠く、南シナ海にもおよんでいる。その南シナ海で、最近、あわや戦争かという事件が起きた。中国側が拠点を築き、ベトナム側が激怒、一触即発の状況に陥ったのである。しかし、2014年7月、ベトナム政府が「戦争も辞さない」と宣言するや、中国側はそそくさと撤収した。

つまり ・・・

中国相手なら、何をするにも「戦争」の覚悟が必要だ。

中国の戦略は、敵と味方を峻別し、敵の領土はスキあらば奪う。戦術は、戦争も辞さない武力行使型で、ルールも信義もあったものではない。欲しいものはなんでも手に入れる。早い話が、ジャイアンなのだ。だから、一度妥協すると、領土はなし崩し的に減っていく。日本政府が、あんな小さな尖閣諸島にこだわる理由はここにある。尖閣諸島で屈すれば、「次は沖縄」は見えているから。実際、中国軍の一部の高官は「沖縄は中国領」と発言しているのだ。

そんな状況にもかかわらず、「戦争」と聞くだけでヒステリックに反応する人がいる。彼らは、戦争そのものを否定し、すべて、話し合いで解決できると信じている。

では、南シナ海の中国とベトナムの結末をどう説明するのだ?

テレビに向かって、口当たりのいい「平和」を触れ回り、オデは善良な平和主義者で何でも知ってるぞと言わんばかりだが、そのじつ、何も解決できない。こういうのを、空想的平和主義という。

現実と歴史を直視すれば ・・・

「戦争は外交の一部」は明らかだ。

「警察の武力行使が法律の一部」と同じように。

主権国家に欠かせないのが「外交」、その最終手段が「戦争」である。だから、戦争を否定するのは、外交を否定するに等しい。つまり、主権国家であることを否定しているわけだ。論理が破綻しているのは明らかだが、自分が識者だと思い込んでいるから始末に負えない。

結局のところ ・・・ 戦争とは「否定」するのではなく、現実として受け止めて、可能な限り「避ける」ものなのである。

ではなぜ、中国は尖閣諸島を占領しないのか?

日米同盟(日米安保)、つまり、アメリカが恐いから。もし、日米同盟がなければ、とうの昔に、中国は尖閣諸島を占領していただろう。

では、自衛隊では阻止できないの?

十分可能だが、70年前のアメリカ式日本国憲法が力を封印している。

日本の自衛隊は間違いなく優秀だ。以前、退役した航空自衛隊幹部からこんな話を聞いた ・・・ 自衛隊は、他国の軍と比べ、装備が良く、練度も士気も高い。それに、軍用機の格納施設の整理整頓はアメリカ軍のはるか上をいく。

整理整頓がどうしたって?

工場の整理整頓具合をみれば、その会社の体質がわかる。整理整頓は効率化と合理化と規律の象徴だからだ。

しかし ・・・

自衛隊は、戦局を一変させる要(かなめ)の兵器を持っていない。弾道ミサイルと核ミサイルと原子力潜水艦だ。だから、日本は、単独で最終的な勝利を得ることができないのである。

もちろん、戦争は勝ってなんぼ。第二次世界大戦で敗北した日本とドイツがどれほど惨めで不公正な扱いをうけたか、そこに戦争の本質がある。

明後日は終戦記念日。

毎年、この日になると、マスコミは、広島と長崎に投下された原子爆弾の恐ろしさ、軍部はなぜ暴走したか? ・・・ に終始する。

驚くべきことに、肝心なことは一切報道されない。

太平洋戦争前夜、戦争を避けるべく、日本政府がどれほど外交努力をしたか。

戦後、極東軍事裁判で、日本の指導者たちが、まだ確立されてもいない曖昧な法律で裁かれ、25名が有罪になり、7名が処刑された事実。

ここに目を向けないかぎり太平洋戦争の原因、ひいては戦争の本質が見えてこないのだ。

侵略戦争」をでっちあげたり、「敗者が悪」の復讐裁判を続けるかぎり、憎しみが憎しみ生み、戦争は繰り返されるだろう。第二次世界大戦の原因の一つが、第一次世界大戦の敗戦国ドイツへの復讐(ヴェルサイユ条約)だったことを忘れてはならない。

■日中同盟

現在、日本の外交は踊り場にきている。

その象徴が、安倍政権の「集団的自衛の行使」の閣議決定だろう。かつての政権なら、口にすることもできなかった大技である。つまり、安倍政権は「空想的平和主義」から「現実主義」に舵を切ったのである。

それでも、内閣支持率は高水準を保っている。これまで、日本人は「平和ボケ」と揶揄(やゆ)されたが、そんな時代は終わったのである。これもすべて、中国と韓国の挑発のおかげ。あれで、日本人は「戦争」を現実として受け止めることができたのだから。

では、「戦争は外交の一部」を認めた上で、今後、日本はどうしたらいいのか?

アメリカに愛想をつかされる前に、「集団的自衛権」を整備して、アメリカへの軍事支援を可能にすること。

その場合、アメリカの戦争に巻き込まれるだろうが、背に腹はかえられない ・・・

ちょっと待った。

それって、アメリカの属国だろ!

どうせ属国なら、中国側についてもいいのでは?

つまり、「日米同盟(日米安保)」ならぬ「日中同盟」。

中国に核ミサイルを撃ち込まれたあげく、降伏して、属国になるのは御免だが、初めから、同盟すれば、平和裏に属国になれるのでは?

しかし ・・・

国と民族を尊ぶナショナリストが黙っていないだろう。

いわく ・・・

かつての日本人の気概はどこへ行ったのだ?

ペリーの砲艦外交で目が覚め、明治維新で富国強兵を推進し、眠れる獅子「清国」に勝利し(日清戦争)、超大国ロシアにも勝利した(日露戦争)、あの誇り高い日本はどこへ行ったのだ。

ベトナムでさえ(失礼)、戦争を覚悟して、中国に立ち向かったのに。

・・・ というわけだ。

それに、万一、日中同盟が成立しても、日本と中国は対等ではない。

日本はチベットのような属国か、新疆ウイグル自治区のような自治区になる。つまり、2000年続いた「独立」を失うわけだ。その代り、核ミサイルを撃ち込まれないですむだろうが。

とはいえ ・・・ 新疆ウイグル自治区のように、核実験場を持ち込まれてはたまらない。実際、この地区は、放射能汚染による住民や農作物への被害が報告されている。さらに、本国から送り込まれた共産党幹部や漢族が利権を独り占めにし、それに反発するウィグル族の暴動がたえない。いやはや。

さらに ・・・

日中同盟の災禍がおよぶのは、日本だけではない。

世界のパワーバランスが一変する可能性があるのだ。

中国は、中華思想(中国が世界の中心)に取り憑かれ、世界最強の覇権国を目指している。それを阻止できる唯一の国がアメリカ合衆国なのだ。現在、すべてにおいて、アメリカは中国を凌駕する(人口を除く)。とくに、ハイテクの差は巨大だ。もちろん、ハイテクは軍事兵器の性能に直結している。だから、中国が単独で、アメリカの軍事兵器を超えることはないだろう。

ところが、日本を属国にすれば、話は別だ。

日本は世界に冠たるハイテク大国である。とくに、原子力、工作機械、電子部品など国の安全保障にかかわる分野では世界一。もし、日本が、欧米・ロシア・中国なみに兵器産業に力を入れれば、真の意味でのハイテク大国になるだろう。スマホ、液晶テレビなど、電子式雑貨で世界を席巻する韓国とは根本が違うのだ。

ソニーやパナソニックが中国・韓国に苦戦するのをみて、日本のマスメディアは「日本の電子産業が没落した」と大騒ぎする。一体、何を考えているのだろう?

電子産業のキモは、「弱電+強電+機械」のメカトロニクスにあるのに。実際、この分野では、日本企業は世界のトップに立っている。具体的には、日立製作所、東芝、三菱重工・三菱電機、IHI ・・・

さらに、電子産業で重要なのが電子部品。たとえば、スマホ、液晶TV、パソコンで欠かせない高周波コンデンサは、中国や韓国では真似ができない。早い話が、安かろう、悪かろう。

たとえば、世界トップの村田製作所のコンデンサを買ってきて、分解しても、砂粒しか出てこない。しかも、成分が分かったとしても、どうやって造るかサッパリ。つまり、設計だけではなく「製造技術」が重要なのだ。日本はこの「設計技術+製造技術」では世界の頂点に立っている。

だから、今の自信なさげな日本の風景が理解できない。

ガラクタで大金を稼ぐ成金国とは別物なんですよ。

ところが、中国が日本を併呑すれば、この膨大な財宝をすべてゲットできる。こんなうまい話はないだろう。日本の新幹線の技術を盗んで輸出したとか、不名誉なそしりを受ける心配もないし。

中国が利するのはハイテクばかりではない。日本を呑み込めば、経済力でもアメリカに肉薄する。2013年のGDP(国内総生産)は、アメリカが16兆ドル、「日本+中国」が15兆ドル、完全に肩を並べるわけだ。

つまり ・・・

日中同盟(日本は属国)が成立すれば、中国はアメリカに一気に追いつく。もちろん、アジア最強国の日本が屈すれば、アジア諸国は失望するだろう。あのベトナムでさえ(失礼)、中国に立ち向かったのだから。その結果、アジア全域が中国に屈することになる。中国は核ミサイルを使うことに躊躇しないからだ。こうして、大中華帝国が出現する(パロったら大中華饅帝国、響きがいいですね)。

たくましい想像力だが、ありえない?

そんな人にお勧めの本がある。

2030年 世界はこう変わる」 ・・・ 米国国家情報会議が、米国大統領のために作成したレポートだ。資源、人口、政治など様々な切り口から、世界の中長期的な予測がなされている。

じつは、この本の序文を書いたのは、著名なジャーナリストの立花隆である。その一部を引用しよう(※1) ・・・

これは一般大衆向けの読み物ではない。政府の政策文書でもない。アメリカの国家戦略の解説書でもない。アメリカの国家戦略を策定する者、ならびに、アメリカの国家戦略の関心をもつ者が基本的に頭においておくべき、近未来の世界のトレンドが書かれている

・・・

アメリカでは中・長期の未来予測を必要とする人々は、官僚であろうと、企業人であろうと、エリートたちは、皆このレポートから考えを出発させる。アメリカのエリートと肩を並べる思考をしようと思ったら、このレポートをしっかり読み込むことが必要だ。

・・・

日本は最悪のシナリオなら滅んだも同然だが、最善のシナリオならまだまだいける。

以上、含蓄のある序文だが、本文はアメリカ合衆国大統領に渡されたリポートのコピペではない。キナ臭い部分は、削除されているか、改ざんされているだろう。そもそも、国家機密に関わる部分を公表するわけがないから。

それでも、何度も読んでいると、世界の趨勢がおぼろげなら見えてくる。

■2030年の世界予測

その中から、「東アジアの未来予測」を紹介しよう(※1) ・・・

中国が海軍力を拡大するなかで、米国の覇権は揺らぎ始めており、「各国は誰と組むのが最善の選択なのか」を再考する必要に迫られています。

今後想定されるシナリオは4つです。

【シナリオ①現状維持型】
米国がそのまま制海権を維持し、同盟国も米国の保護の期待できる状態が続くというシナリオです。中国の軍拡や北朝鮮の核開発が続いても、米国による圧倒的な軍事力の優位が崩れなければ、中国や北朝鮮の動きは封じ込めることが可能です。

【シナリオ②新均衡型】
米国が孤立主義を強めたり、経済力の衰退に伴って、アジアでの警察官としての役割を縮小したりしたときに、各国は新たな均衡を求めて、対抗心を見せ始めます。欠けた米国による保護を補うために、「核兵器の開発や保有に走る国」が現れるかもしれません。

【シナリオ③欧州式の共生型】
欧州のように、大国から小国までが民主的かつ平和に共生するシナリオです(中国が内部崩壊しない限りありえない)。

【シナリオ④中国覇権型】
アジアは中国を頂点とした新たな国際秩序を構築することになります。その場合、1990年代前半から同地域で続いてきた環太平洋諸国も組み込んだ仕組み作りが終焉し、アジアに特化した秩序づくりが進むでしょう。日本の衰退が急激に進んだり、インドの台頭が遅れたりすると、こうした中国覇権型のシナリオに進む可能性があります。

これらのシナリオのベースとなる方程式は、

「アジアの覇権を握ろうとする中国と、それにブレーキをかけるアメリカとの力学」

ここで、「各国は誰と組むのが最善の選択なのかを再考する必要に迫られています」に注目。日中同盟が、決して荒唐無稽でないことがわかるだろう。

もちろん、第⑤、第⑥、第⑦のシナリオも考えられる。そもそも、世界は何が起きても不思議はないから。

たとえば、最近起こった「ありえない」は ・・・

2014年7月、北朝鮮は「中国は千年の敵だ」と公然と非難した。これまでの蜜月をおもえば、耳を疑う仰天発言だ。

最近、北朝鮮は中国の言うことをきかない。そこで、中国が腹を立てる、それに対して北朝鮮が腹を立てる ・・・ つまり、憎悪の連鎖が始まっているのだ。さらに、中国が北朝鮮への石油の供給を止めたという話もある。すでに、口げんかの次元を超えているわけだ。

このような、ありえない、まさか、のドンデン返しは、歴史上珍しくはない。それどころから、歴史は「想定外」でいっぱいだ。

■中国の行く末

実際、近代以降の歴史をみると、
1.何が起こっても不思議はない。
2.現実は必然ではなく偶然。
3.発生確率が高い方が現実になるとは限らない。

これらを考慮すれば、日中同盟(日本は属国)は、ありえないシナリオではない。

それで、その先は?

石原完爾の「世界最終戦論」のニューバージョン。

かつて、関東軍作戦参謀の石原完爾は、ドイツ留学をへて、こんな未来を予言した ・・・ 科学技術が進歩すれば、いずれ、超兵器が生まれる。無着陸で地球を1周する航空機とか、一撃で都市を破壊する爆弾とか。そのとき、西洋の覇者アメリカと、東洋の覇者日本で最終戦争が行われる。

これが、石原完爾の「世界最終戦論」である。

ここで、「日本」を「中国」に置き換えると ・・・

中国が日本を併呑して、東洋の覇者となり、西洋の覇者アメリカとの最終戦争が行われる。この場合、全面核戦争はまぬがれないだろう。なぜなら、外交の最終手段が戦争で、戦争の最終手段が核戦争だから。そして、中国は世界で唯一「核兵器の使用」をためらわない国なのである。

しかし ・・・

歴史は「想定外」でいっぱいだ。

何が言いたいのか?

中国が今後成長を続け、大国になるとは限らないということ。その根拠は枚挙にいとまがない。

すぐに思いつくだけでも、
1.極端な輸出依存型の経済構造、シャドウバンキング問題、不動産バブル崩壊、地方財政の破綻 ・・・ これらがもたらす経済大破壊。
2.指導部や幹部の汚職とそれを憎々しく思う民衆の負のエネルギー。
3.共産主義を標榜しながら貧富の差が拡大し、その矛盾に爆発寸前の民衆。
4.かつて併合したチベットや各自治区の不気味な暴動や独立運動。
5.隣国まで及ぶ大規模な環境破壊。

矛盾の巨大さ、問題の複雑さ、「公の概念」のない国民性、これに膨大な人口を掛け算すれば、歴史的カタストロフィーが起こっても不思議ではない。だから、真実を知る支配層は海外にせっせと資産を移しているわけだ。

一方、中国の共産党政権は一枚岩にみえる。まるで、冷戦時代の無敵のソ連のようだ。

しかし ・・・

ベルリンの壁が崩壊し、無敵のはずのソ連があっけなく崩壊してしまった。しかも、それを予測した学者・識者は一人もいなかったのである。

だから ・・・

中国も今後何が起こるかわからない。そもそも、中国は、日本のような「万世一系」の国ではない。

日本の政権は、平氏、源氏 ・・・ 豊臣、徳川 ・・・ 現政権と移り変わったが、国家元首は建国以来一度も変わっていない(天皇家)。しかも、「あうん」が通用する世界で類を見ない単一民族国家なのだ。

一方、中国の政権は、秦、漢 ・・・ 清、中国共産党と王朝はめまぐるしく移り変わり、しかも、各王朝に血のつながりはない。現在の共産党政権もわずか60年の歴史で、前王朝「清」とは何の関係もない。血縁どころか、民族からして違うのだ(清朝は女真族、共産党政権は漢族)。

だから、中国の政権交代は時間の問題だろう。そのとき、共産党の一党独裁はありえないから、政治、軍事、文化、習慣、生活、何もかもが変わる。つまり、すべて一からやりなおすわけだ。

中国は、こんな積み木崩しを5000年も続けてきたのである。

為政者と国民に「民主主義」と「公の概念」が根付かない限り、不毛の歴史はまだまだ続くだろう。反日教育に精を出している場合ではないのだ。

参考文献:
(※1)2030年 世界はこう変わる アメリカ情報機関が分析した「17年後の未来」 [単行本(ソフトカバー)] 米国国家情報会議 (編集), 谷町 真珠 (翻訳)講談社

by R.B

関連情報