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週刊スモールトーク (第257話) 魔法のコンピュータⅣ~スパコン+プレステ7~

カテゴリ : 歴史科学

2014.06.21

魔法のコンピュータⅣ~スパコン+プレステ7~

■スパコン+プレステ7

Googleがインターネット検索、自動翻訳、日本語入力で大成功をおさめたのは、「確率的推論」のおかげ。

確率的推論?

難しく聞こえるが、中学生でもわかる単純な計算を延々と繰り返すだけ。とはいえ、推論の精度を上げるには膨大な「繰り返し」が必要だ。そこで、オツムは弱いが計算が大得意のコンピュータの出番。退屈な計算を不眠不休で嫌な顔一つせずこなしてくれる。

というわけで、「確率的推論+コンピュータ」の無敵の矛と盾で(矛盾?)、パラレル宇宙を再現することにした。パラレル宇宙とは、「パラレル宇宙論」で存在が予言される「歴史のIF」の並行世界である。

具体的には、歴史の原因と結果を「確率」でひも付けし、確率の精度を極限まで引き上げ、ホンモノと等価の世界を再現する。これで、「歴史のIFの世界」が丸ごとのぞき見できるわけだ。名付けて「魔法のコンピュータ」 ・・・ 怪しい響きだ。

その「魔法のコンピュータ」だが、正体は「確率計算=浮動小数点演算」のかたまり、つまり、「ナンバークランチャー(数喰いマシン)」なのだ。

じゃあ、スーパーコンピュータのお仲間?

イエス!

ただし、ただのスーパーコンピュータではない。

グラフィックも超弩級 ・・・

具体的には、「歴史のIF」を並列表示するため、解像度は、4K(3840×2160ピクセル)×4、または8K(7680×4320ピクセル)は欠かせない。この解像度で60fpsでリアルタイムレンダリングなら ・・・ 最新のゲーム機「プレステ4」でもムリ。

ところで、そんなグラフィックカード存在するの?

グラフィックチップ「AMD FirePro」を2基搭載したMacのハイエンドマシンMacProでさえ、4Kモニタは3台までなのに ・・・

今のペースで進化すれば、魔法のコンピュータのグラフィック・スペックが実現するのは「プレステ7」 ・・・ 西暦2035年頃ですね。

というわけで、市販品はあてにできない。専用のハードが必要だ。とはいえ、コンピュータ、ソフトがなければタダの箱。プログラムと歴史データがなければ、何も始まらない。

では、専用ハード、プログラム、歴史データがあればOK?

ノー!

肝心なことを忘れている。

「魔法のコンピュータ」の性能は、歴史イベントの原因と結果の正確さに依存している。あるイベントが起こったとして、それが原因で、どんなイベントが起こるか?その正確さがすべてなのだ。

たとえば ・・・

ある歴史の分岐点で、史実とは違う選択肢が選ばれていたら、歴史はどうなっていただろう ・・・ ワクワクドキドキ ・・・ ところが、そこで、荒唐無稽のイベントを連発したら!

まがい物、似非(えせ)シミュレーション、面白くないゲーム、ただのクソじゃん!と噛みつきたくもなるだろう。

たとえば、リアルな歴史シミュレーションをうたいながら、必ず、1939年にポーランドがドイツに宣戦布告するゲーム「ハーツ オブ アイアンⅢ・Hearts of Iron」とか(このイベントは99.99%ありえない)。

話をもどそう。

魔法のコンピュータの性能は、歴史イベントの原因と結果の正確さに帰着する。前述したように、原因と結果は「確率」でひも付けされるのだが、キモとなるのが「確率」の精度だ。

では、どうやって確率の精度を確保するのか?

先の確率的推論(ベイズ理論)で、最適化するのである。

具体的には?

それを公開すると特許出願できなくなるので ・・・ ナイショ。

ということで、やるべきことはたくさんにある。

それにしても、作るのに一体いくらかかるのだ?

と、その前に ・・・

仮に完成したとしても、代金1億円(別名「1億円コンピュータ」なので)を払う奇特な人はいないだろう。つまり、開発費を回収できる見込みがないわけだ。

じゃあ、税金でやるか?

なんと厚かましい!と思われるかもしれないが、前例がある。

民主党政権時代、事業仕分けでやり玉にあがった「次世代スーパーコンピューター・プロジェクト」だ。

■小保方「STAP細胞」と理化学研究所

驚くなかれ、このプロジェクトはCPU(コンピュータの心臓部)から開発したのである。世界中が、ありもののCPUで作っているのに。そんなこんなで、1154億円もの巨費(税金)が投じられたのである。

そこで、民主党の蓮舫議員の名セリフが生まれた。彼女は「次世代スーパーコンピューター・プロジェクト」にこう問いかけたのである。

「(そんな巨費を投じてまで)世界一になる理由は何があるんでしょうか?2位じゃダメなんでしょうか?」

すると、文科省の役人はこう言い切った。

「技術開発が遅れると、すべてで背中を見ることになる」

大げさな ・・・

ところが、驚いたことに、周囲の技術者も、昔の仲間も、口をそろえてこう言ったものだ。

「蓮舫は科学技術がわかちゃいない。1番じゃないと生き残れないんだ」

でも ・・・

科学技術の世界では、1番じゃない方が圧倒的に多いんですけど。しかも、みんな食えてる、つまり、生き残っている。

どういうこと?

まぁ、それはさておき、このプロジェクトの結末はお粗末なものだった ・・・

完成したスーパーコンピュータ「京」は、2011年のスパーコンピュータ「TOP500」で1位になったものの(専用CPUなのであたりまえ)、翌年には、2位に転落。その後、年を経るごとに順位を落としている。これが、税金1154億円をかけた「次世代スーパーコンピューター・プロジェクト」の末路なのだ。

ここで蓮舫議員の名セリフ ・・・

そんな巨費を投じてまで、世界一になる理由は何があるんでしょうか?2位じゃダメなんでしょうか?

ごもっとも ・・・

もちろん、一番を目指すことがナンセンスだと言っているわけではない。世界中が、ありもののCPUを使って、コストを考慮しているのに、「税金だから金に糸目はつけない」的な発想が気に入らないのだ。

ちなみに、この「次世代スーパーコンピューター・プロジェクト」を主導したのは、小保方「STAP細胞」で揺れる理化学研究所だった。

小保方研究員は、経歴や実験ノートから察するに、研究者としてはかなりうさん臭い。だから、「STAP細胞」という金ピカブランドがなければ、理化学研究所に入ることもできなかっただろう(理化学研究所は日本一のエリート集団)。早い話が金メッキ?

とはいえ、彼女は大学時代からコピペ環境で育って、特例で理研に入った人。だから、彼女の金ピカは周囲が作り上げたもの。大学と理化学研究所の責任はまぬがれないだろう。

ところが、現実は、彼女だけが悪者になっている。そんな世論が主流になると、今度は、小保方ユニットリーダーが所属する発生・再生科学総合研究センターが丸ごと解体されるという。真面目にやっている研究員にしてみれば ・・・ やっとれん。

早い話が、トカゲの尻尾切り。

どうせ、切るなら、頭を切るべきでは?

何もしないのに、高い俸禄を得ているのは、こんな時のためでしょう。理化学研究所の体質ここに極めり。理研がかつての栄光と信頼を取り戻すには、何十年もかかるだろう。論文に理化学研究所と書かれているだけで、疑いの目で見られるだろうから。

というわけで、「魔法のコンピュータ」は、スーパーコンピュータ「京」のように税金を使うわけにはいかない(あたりまえ)。だから、”日本以外”のスパコン開発を見習って、ありもので作るしかない。

■魔法のコンピュータのハード

では、具体的にどうする?

パソコンをベースに、GPGPUカード(浮動小数点演算ユニット)を可能な限り詰め込むしかない。

そこで、取引先のパソコン工房の担当者に相談したところ、興味深い答が返ってきた。

「今、大学の研究室では、パソコンベースのスパコンを机の横におくのがトレンドなんです。ウチも、自作パソコンをベースに、大学に納入した実績があります」

ネホリハホリ聞くと、

「GPGPUは、NVIDIAのテスラK-20とか、K-40が人気ですね」

とはいえ、K-20は38万円、K-40で70万円もする。価格に目をつぶったとしても、実装に問題がある。テスラは、PCIe(拡張用インターフェイス)を16レーン使用するが、グラフィックカードも16レーン使う。つまり、GPGPUと高性能なグラフィックカードを積むと、PCIeは「16レーン×2」必要だ。

ところが、たいていのマザーボードは、「PCIe×2ポート」をうたっていても、ほとんどが「16レーン×1、8レーン×1」。というわけで、マザーボードは、一般的な「マイクロATX」は使えず、ハイエンドの「Extented ATX」しかない。

しかも、テスラにせよグラフィックカードにせよ、電力バカ喰いなので、電源は1kwを超える(一般的なデスクトップパソコンは300w程度)。家庭で使えば、「ブレーカが落ちるかも」のレベル。そこで、節電のため、変換効率の高い電源を使う必要がある(=高級電源)。安物なら変換効率は78%だが、高級品なら90%を超えるから。1kwも使っておいて、節電というのもヘンな話だが。

というわけで、パソコン工房でテキトーに見積もってもらったら、ハード本体だけで100万円を軽く超えた(モニタは省く)。しかも、スペックはグラフィックは4Kモニタ×1、テスラ1基 ・・・ 「魔法のコンピュータ」のスペックには遠くおよばない。

それなら、手っ取り早く、アメリカ軍みたいに、プレステ3を多数連結する?

ところが、ゲーム専用機は世代が変わるたびに、アーキテクチュアも変わる。そのたびに、ソフトを作りなおせって? めんどくさー。

そもそも、プログラム、歴史データ、因果確率の最適化など、ソフトの開発だけで数年はかかるのに、ソフトが完成したらハードが使えないって?

やる気ナシ ・・・

というわけで、ソフト互換を優先するなら、パソコンベースで組むしかしかない。

■魔法のコンピュータのソフト

つぎに、ソフトだが ・・・

C++を使えば、「設計=クラスのコーディング」なので設計書は不要、すぐにコーディング(プログラム作成)にかかれる。歴史データもガイアチャンネルから流用できるので、2、3年もあればなんとかなるだろう。というわけで、ネックはハードだ。

つまり ・・・

コンピュータ、ソフトがなければタダの箱(昔よく言われた)ではなくて ・・・ コンピュータ、ハードがなければ、タダのフリスビー(DVDをイメージしています)。

スパコン「京」のように税金を使えば、カンタンに作れるのにね(しつこい)。

さらに ・・・

仮に、フルスペックのハードが作れたとしても、部品代だけで1000万円はいきそうだ(2014年6月時点)。しかも、ワープロ、表計算、ゲームなど、他のアプリが使えるわけでもない。

早い話が ・・・ 歴史のIF”のぞき見専用”コンピュータ。

一体、誰がそんなものに大枚をはたくのだ?

時速300kmで爆走するか、見て鑑賞するだけの車(「フェラーリ」etc)に、2000万円払う人。

もしくは、

クォーツより精度が劣る機械式腕時計(「ブレゲ」etc)に、1億円払う人。

だから、「魔法のコンピュータ」なのである。

???

「魔法」はこの世に存在しないもの。つまり、「魔法」とは人を騙(だま)すことなのである。

でも、一人ぐらい、騙されて買ってくれないかなぁ。パラレル世界はちゃんと見れるので、詐欺ではないですよ。

ところで、いつ完成するの?

定年退職後、一人でコツコツ作るので、まだ先の話 ・・・ でも、その頃には、肝心の設計書が頭から消えていたりして。そのときは、魔法のコンピュータではなく、幻のコンピュータですね。

《完》

by R.B

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