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週刊スモールトーク (第225話) 禁酒・断酒の効果Ⅲ~なぜ酒をやめられたか?~

カテゴリ : 社会

2013.09.22

禁酒・断酒の効果Ⅲ~なぜ酒をやめられたか?~

■アルコールと癌

アルコールは心臓に悪い。おまけに、脳細胞を溶かし、脳を萎縮させるという。身の毛もよだつコワイ話だが、アルコールの害はそれにとどまらない。

WHO(世界保健機関)の報告によれば、酒(アルコール)は、
・ 口腔(こうくう)、咽頭(いんとう・口と食道の間)、喉頭(こうとう・口と気管の間)、食道
・ 肝臓、大腸
の癌の原因になるという。

アルコールを摂取すると、体内で「アセトアルデヒド」という物質が生成されるが、これがガンなのだ。シャレで言っているわけではなく、正真正銘の発癌物質。DNAを傷つけ細胞をガン化する負の力をもつという。だから、酒を飲めば、癌になりやすいのはあたりまえ。

ところで、大腸はアルコールを吸収し、肝臓はそれを分解するのでダメージを受けるのは当然として、なぜ、「口~食道」に集中するのだろう?

酒を飲んで寝ると、体内で生成されたアセトアルデヒドが、
「胃 → 食道 → 口」
と逆流する。ところが、口を閉じているので外に出て行かない。結果、アセトアルデヒドが「口~食道」に滞留し、口腔・咽頭・喉頭・食道をガン化するというわけだ。

じゃあ、酒を飲んだら口を開けて寝ればいい。

なるほど ・・・ でも、そんな問題ではない気がする。

アルコールにはまだリスクがある ・・・ 胃潰瘍、高血圧、心筋梗塞、慢性膵炎、糖尿病、痛風、性機能障害、緑内障 ・・・ 身体に悪いこと全部?これでは酒を飲む気になれない。

無為に長く生きたいわけではないが、ややこしい病気になるのはご免だ。病気が運命なら受け入れるしかないが、節制で回避できるなら、努力はおしまない。そこで、禁酒を決断したのである。実際、この7ヶ月、アルコールを一滴も口にしていない。だから、本当は禁酒ではなく断酒。

■禁酒日記

では、アルコールを断つとどんな効果・効用があるのだろう?

7ヶ月におよぶ私的人体実験?を報告する。若い頃から、日記をつける習慣があったので、こういうときは役に立つ。

じつは、これまで、2回禁酒をやっている。1回目は失敗、2回目は現在進行中。日記を読むと、体内からアルコールが抜けていく様子、飲酒を再開すると何が起こるかがわかる。

【1回目の禁酒(失敗編)】
2001年5月、禁酒スタート。
・3日後:思考が楽になり、何でもやりたくなる。
・4日後:プログラミングが速くなり、思考射程が長くなる。
・6日後:思考そのものにパワーを感じる。
・7日後:すべてが楽しく、ワクワク。
・10日後:ビールを飲む。不味い(禁酒が破綻)。
・11日後:頭痛寸前で、体もだるい。夜、ビールを飲む。うまくない。
・12日後:ダメージは少ないが、顔がむくみだす。夜、ビールを飲む。うまい。
・13日後:記憶力の低下を実感する。

ということで、この時の禁酒は10日で失敗。飲酒再開直後は、ビールが不味く感じるものの、3日後には美味くなる。身体もだんだんアルコールに慣れていき、頭痛も消える。アルコール依存生活へ逆戻りしたわけだ。緊急性の低い中毒としか思えない。イスラム教が酒を禁じているのはそのせいかな?

【2回目の禁酒(現在進行中)】
2013年2月18日、禁酒スタート。
・10日後:頭も身体も軽い。感じる力が増大する。
・40日後:意欲が増大、「嗅覚」も改善、複雑な思考に耐えられる。
・50日後:何でも考えられそうなカンカク。
・60日後:思考のスタミナが多少増大。但し、頭の回転は変わらない
・70日後:「嗅覚」がさらに改善。JRの指定席が一撃で記憶できる。
・6ヶ月後:思考スタミナがかなり増大。長い文字列が記憶できる。

■禁酒・断酒の効果

意外だったのは、「嗅覚」が改善したこと。10年前、風邪を引いたのが原因で、嗅覚が消失した。耳鼻科にみてもらったところ、ウィルスによる嗅細胞の障害とかで、リンデロン液を処方された。ところが、半年経っても、ゼンゼン治らない。

そんなある日、ひょんなことから(診察ではなく)、大学の医学部を退官した元助教授にこう言われた。
嗅細胞じゃなくて脳かもしれませんよ」
そのときは、まさかと思ったが、今は半分信じている。

とはいえ、
「7ヶ月断酒した結果、臭いがもどりました」
では何のインパクトもない。肝心の脳はどうなったのだ?

まず、「頭の回転」 ・・・ ゼンゼン変わらない。というか、劣化の一途。若い頃の爆速感を思い出し、イライラする。頭の回転は、脳の萎縮ではなく、脳細胞のピチピチ度に依るのだろう。そういえば、女子高生のケータイの操作スピードには圧倒される。努力でどうこうなるレベルではない。というわけで、頭の回転は「脳の萎縮」以前に、「加齢」の問題。だから、改善するわけがない。

つぎに、「記憶力」。多少改善したように思う。涙ぐましい努力の結果、WiFiのパスワード(13桁)とソフトのライセンスキー(21桁)がなんとか覚えられた。ところが、人の名前が思い出せない、メモをしないと仕事でポカをやる、などのおバカぶりは改善されていない。ということで、記憶力のつつましい回復は2つの事実を示唆している。脳萎縮が記憶力にダメージを与えること、脳萎縮は禁酒で回復すること。

思考射程」は、一気通貫で連続思考できる長さ。もちろん、長ければ長いほど、複雑な思考に耐えられる。大学で理学と工学の中間領域を教えていた友人によれば、
「理学部と工学部の一番の違いは思考射程の長さ(理学部>工学部)」
たしかに、心当たりがある。大学時代(工学部)、理学部物理学科から編入してきた学生がいたが、思考の質が違っていた。

では、「思考射程」はどうやって測るのか?プログラムを書けば一目瞭然なのだが、仕事ではもう書かなくなった。だから、判定しようがないのだが ・・・ あんまり変わっていないような気がする。

そして、一番気になるのが「抽象思考」。これが劣化すると、抽象的な概念、数学・物理のたぐいが理解できなくなる。さらに、問題を抽象化して普遍的に問題解決するのもムリ。何が起こっても、行き当たりばったりで都度解決するしかない。本能で生きる動物に近づくわけだ。ちなみに、「抽象思考」の測定だが、カンタンな方法がある。大学時代の小難しい教科書を読んでみるといい。

そこで、大学時代に単位を落とした「量子力学」の教科書(※)を読んでみた。

【第1章 量子力学のおこり】

1.1 Planckの仮説と熱輻射
・・・・
体積Vの空洞をみたしている輻射、すなわち、電磁波は、振動数がνとν+dνの間にある振動子の数g(ν)dνは、真空中の光速をcとすると、(ν×ν)に比例し、

g(ν)dν=8πV(ν×ν)/(c×c×c)dν (1・2)

ぐわ、いきなりこれか ・・・ 電磁波は光速で伝搬するので「c」はわかるけど、なんで「8π」なのだ、なんて考え出すと、この世界ではやっていけない。ここが高校の”お気軽”数学との一番の違いだ。つまり、具体性のカケラもない、雲をつかむような抽象世界。

教科書(※)はさらに続く ・・・

(1・2)式の関係の導出は、この本の第14章でおこなう。

はいはい、読む気ナシ。

そして、次のページからは、永遠の呪文のような偏微分方程式が延々と続く。ここで、偏微分方程式とは微分方程式の一種で、微分とは変化の度合いを普遍的に表す方法。と、一見難しそうだが、偏微分方程式は、中学校で習う連立方程式の難しいバージョンと考えればいいだろう。

だいたい、この教科書は「量子力学」とはいえ、専門外の工学部用のお気軽バージョン。では、理学部物理学科の連中が学ぶ”本格派”量子力学はどれほど難しいのだ?

おっと、忘れるところだった、教科書「量子力学」による「抽象思考」のテスト結果は ・・・ 何が何だかサッパリ。とはいえ、
「禁酒で抽象思考は改善されなかった」
とは言い切れない。なぜなら、大学時代に単位を落としているから(選択科目なので卒業はできた)。つまり、元々、理解できなかったわけで、脳の萎縮、加齢の問題ではない。では「地頭」の問題!?!

・・・

で、「抽象思考」は禁酒で改善したの、しなかったの?

他にも小難しい本を読んでみたが、読む速度は遅いものの、理解度が劣化しているとは思えない。そもそも、酒を飲んでいた時は、小難しい本など読む気もしなかった。それに、最近、込み入ったハイテクにも興味が湧いてきたことだし、目こぼしして ・・・

「抽象思考」は、禁酒によって改善した(かも)。

しかし、ここで興味深いことがある。禁酒の後、「考える」に意欲が湧いたのは確かだが、あくまでハイテク限定。経営・ビジネス・マネージメントへの意欲はむしろ減退した。じつは、若い頃からこの傾向が強かった(技術開発以外興味ナシ)。つまり、禁酒によって、「思考(しこう)」より「嗜好(しこう)」の方が元に戻ったわけだ(シャレではなく)。

最後に、「精神状態」について。

よく、言われるのが、
「アルコールに依存 → 心の病気

だから、ストレス解消に酒を飲むのは奨められない。本末転倒になりかねないから。では、禁酒すると、毎日がご機嫌でハッピー?

じつはそうでもない。逆に、以前のようにバカ騒ぎしたり、オヤジギャグで周囲を困らせることもなくなった。でも、落ち込むわけではない。身もココロも軽くなり、毎日が穏やかな日々 ・・・

・・・ と、ここまでが断酒6ヶ月間の話。

ところが、ちょうど7ヶ月後、状況が一変した。

9月17日、思考の鋭さと力強さが一夜にしてグレードアップしたのだ。「記憶力」、「思考射程」うんぬん前に、脳力が一気に底上げされた。さらに、心の有り様も、穏やかな気分から、いくぶん、華やいだ気分に。

断酒って面白いですね ・・・

私的な体験と断った上で、断酒すれば、アルコールは1週間から2週間で完全に抜ける。さらに我慢すれば、数ヶ月で脳力が劇的に改善する(かも)。ただし、頭の回転だけは戻らない。ケータイさばきでは永遠に女子高生にかなわないわけだ。

■禁酒できた理由

7ヶ月間、禁酒(断酒)が成功している理由はいくつかあると思う。
1.酒は身体に悪いと理解できた(不整脈、脳の萎縮、癌の原因)。
2.酒を飲まないと、心地良い(心身ともに軽くなり穏やかな気分)。
3.酒を飲まないと、考えることが楽しい(知的ライフの回復)。

しかし ・・・

あれだけ好きだった酒をやめるには、理由が弱すぎる。どれもこれも、緊急性がなく、致命的でもないから。

では、禁酒できた本当の理由は?

人生でやり残したことがあるから。

死ぬ前に、究極の歴史シミュレーターを作りたいと思っている。パソコンではなく、最適化された専用コンピュータで(パソコンの1000倍以上の浮動小数点演算能力が必要)。

必要なスキルは、
1.コンピュータのハード(元回路設計者なのでなんとか)
2.プログラミング言語C++(OK)
3.3Dプログラミング(エフェクトに凝らなければなんとか)
4.GPGPUプログラミング(hUMA技術が軌道に乗ればなんとか)
5.計算モデルの構築(一番のキモだが ・・・)
6.歴史データベース(なんとか)

ということで、かなりハードルが高い(自分にとって)。

ところが、この装置は完成したところでカネになるわけではない。自分で作って、自分が楽しむだけ

もったいない、なんでまた?

世の中退屈だから。やるべきことはもうやったし、次に未来を見たいから。

だから、定年退職後、趣味でやるしかない。でも、その時、頭は大丈夫だろうか?脳が萎縮して、スカスカでは困るのだ。

ということで ・・・

ただでさえ小さい脳を、酒でダウンサイジングさせるわけにはいかない!

つまり、禁酒が続いているのは「遊び」のため?

昔、偉い学者がこう言った。

人間は遊ぶ存在

であれば、「節制」に「遊び」をからませるのは良い方法だ。遊びのためなら、節制も我慢もできるだろうから。

毎日欠かさない散歩、就寝前のうつらうつらで、先の装置が無意識に脳を支配している。「潜在意識」が関与しているのは明らかだ。潜在意識は、論理性、合理性、計画性がなく、時間と空間の概念もない。反面、とてつもない心的エネルギーをもつという。いわゆる「火事場の馬鹿力」だ。

つまり、合理性も計画性もないまま、強大な何かに突き動かされている。計画も勝算もないのに、エネルギーだけで突っ走しろうとしている。しかも、人生最難度のミッションを、人生最悪の定年脳で。まあでも、スタートするのは定年退職後だし、まだ先の話。それに、持ち出しは自分の労働力だけなので、失敗しても誰にも迷惑がかからない。

だから、イヤな予感がする ・・・

これまでの人生、コンピュータのハード or ソフト開発を業としてきたが、失敗したことがない。ミッションが難しければ難しいほど、
「絶対完成させるぞ~」
的な背水の陣でやってきたから。そして、心の片隅にはいつも、
「なんとかなるさ」

でも、今回はどちらもない。失敗しても、大勢に影響がないからだろう。

でも ・・・

冷静に考えると、未完成で死ぬのはイヤだな。ということで、禁酒は続けることにしよう。

というわけで、7ヶ月禁酒が続いているのは、第一に「遊び」のため、第二に「潜在意識の強大なエネルギー」のおかげ。でなければ、こんな俗物が酒を辞められるはずがないではないか。

■禁酒の弊害

さて、ここまでは、禁酒に成功したイイ話。

ところが、意外かもしれないが、禁酒には弊害もあるのだ(本当に)。

親戚で、自分の親ほど歳の離れた従兄がいた。包容力があり、剛胆な人物で、小さい頃から大好きだった(よく小遣いをくれたので)。一方、大変な大酒飲みで、ご飯を茶漬けならぬ「酒漬け」で食べていたという。ところが、25歳の時、酒をきっぱりやめた。建設会社の跡取り息子だったが、宴席で失敗したらしい。動機は何であれ、立派なものだ。酒とタバコはそう簡単にはやめられないから。

ところが、この話にはオチがある。

彼は会社を継いだ後も努力を怠らず、一級建築技師の資格までとった。技術が分かる経営者を目指したわけだ。そんな努力が認められ、社員と取引先の信頼をえて、会社は年商数十億円にまで成長した。50歳を超えた頃には、国や県の公職を兼任し、いっぱしの名士になっていた。当然、羽振りもいい。でも、酒が飲めない。それに、大変な恐妻家だった。つまり、酒も女もダメ。

そこで、彼は有り余るカネを「美食」に費やした。台湾のどこそこの店が美味いとか不味いとか、しょっちゅう台湾に”出張”していた。あげく、「小松-台北」定期航路開設に功績があったとかで表彰されていた。

そして、最近、68歳でこの世を去った。死因は美食からくる「糖尿病」。アルコール依存の人生と、どちらが長生きしたのだろう ・・・ 今となっては知るよしもない。

ということで、禁酒の際は、「美食」に注意しましょう。

そういえば、最近、甘い物が気になってしかたがない。脳に糖分を補給するとかなんとか、毎日理由をつけて、セブンイレブンのアンコロ餅を食べている。これがまた、マジで美味いのだ。酒を飲んでいた頃は、菓子類には目もくれなかったのに。

ということで、「脳の萎縮・不整脈・癌 Vs 糖尿病」は究極の選択?

健康管理って本当に難しいですね。

《完》

参考文献:
※「量子物理」望月和子(著) 出版社: オーム社

by R.B

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