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週刊スモールトーク (第189話) 中国共産党の歴史Ⅰ~一党独裁~

カテゴリ : 思想歴史

2012.12.24

中国共産党の歴史Ⅰ~一党独裁~

■政権交代

中国共産党は、世界最大のマンモス政党である。党員数は8000万人を超え、日本の人口に迫る。もっとも、中国の人口は13億5000万人なので、比率では6%にも満たない。一方、日本の政党の数は「12」なので(2012年12月)、人口比率で考えると、中国の政党数は「120」でもおかしくない

ところが ・・・

中国は共産党の一党独裁。

つまり ・・・

中国人の94%は政治を選ぶ自由がない

ひるがえって日本は ・・・ 2012年12月16日、衆院選が行われ、与野党が逆転した。前回も与野党が逆転しているので、日本の政治は選び放題というわけだ。ちなみに、今回の逆転劇は、
・ 自民党(野党):118→294
・ 民主党(与党):230→57

自民党は250%増、民主党は75%減という凄まじさ。しかも、自民党は単独で過半数を超え、連立の公明党と合わせると325議席を獲得した。総議席の2/3を超えているので、基本、無敵

また、「日本維新の会」も初めての国政選挙ながら、「54議席(第3位)」を獲得した。リーダーの石原慎太郎と橋下徹は、「極論と直言」がモットーなので、今のような混迷の時代には向いている。実際、憲法改正どころか、「自主憲法の制定」、さらに「核武装」にまで踏み込んでいる。そんな、思いっきりの良さが評価されたのだろう。口だけだ、と非難する向きもあるが、口にする勇気もない者に彼らを論じる資格はない。とにかく、今の日本は言い出すことが第一歩だ。

そもそも、現在の日本国憲法は、65年前、アメリカの都合で作られた”他国”の憲法である。日本が二度とアメリカに歯向かわないように戦争を放棄させ、さらに、精油施設を廃棄させるなど、工業を解体し、日本を農業国にしようとしたのである。ところが、1948年に北朝鮮が建国されると、共産主義の防波堤にするため、一転して、日本の工業化を認めた。

つまり、戦後の日本の国家戦略、日本の憲法は、すべて日本ではなく、アメリカの国益にもとづいている。それを、「平和憲法」とありがたがっている馬鹿さかげんに嫌気がさしたから、社民党、日本未来の党、新党大地は大敗したのだろう。

内政で「警察」が必要であるように、外交では「軍隊」が欠かせない。特に、中国のようなあからさまな覇権国家がお隣りさんの日本では。経済や文化がどんなに発展して、どんなに国民が幸せになろうが、占領されたらすべてチャラ。中国に征服されたチベットをみれば明らかである。

また、中国は核戦争を想定して、準備を進めている。中国が、尖閣諸島(東シナ海)や南シナ海に執着するのは資源目当てではない。この2つの海域を抑えれば、中国の核ミサイルを搭載した原子力潜水艦が自由に大平洋を行き来できるからである。これは非常に重要な意味をもつ。

アメリカの軍事力をもってすれば、中国内陸部の核ミサイル基地を短期間で破壊できる。ところが、原子力潜水艦はそうはいかない。基本、探知できないのだ。そのため、中国のミサイル型原子力潜水艦が大平洋にウヨウヨするようになれば、アメリカは中国の核攻撃を防ぐことができない。逆に、それはそのまま中国のアドバンテージになる。

つまり、中国にとって、東シナ海と南シナ海の確保は死活問題なのだ。嫌がらせでやっているわけではない。アメリカとのパワーバランスを保つべく、国の安全保障に従っているだけなのだ。しかも、事は核がからむ。平和ボケの日本ならいざ知らず、ガチになるのは当然だろう。ヘタをすると、国が滅ぶから。しかも、再生不可能なほどに。原発が破損しただけで、放射能汚染列島寸前までいった「日本の現実」を思い出すべきだろう。

ゆえに ・・・

中国が日本を核で攻撃しても、アメリカは中国を核で反撃することはない。というより、できないのだ。もし、反撃すれば、アメリカが中国の核の報復攻撃を受けるから。そして、中国のミサイル型原子力潜水艦が存在する限り、アメリカはそれを防ぐことができない。

冷静に考えてみよう。

アメリカが核ミサイルを撃ち込まれるのがわかっていて、日本の復讐のために、わざわざ核を使うだろうか?

ありえない。

つまり ・・・

日本人が信じている「アメリカの核の傘」は妄想にすぎないのだ。

そして ・・・

もし、尖閣諸島問題で日中戦争が勃発したら、通常戦では日本が勝利するかもしれないが、中国は敗戦を絶対に認めない。もし、敗戦を認めれば、中国共産党政権は転覆し、指導者たちの命が危ないから。中国の王朝交代でお決まりの大粛正が待っているからだ。

つまり、中国指導部は、選択肢は2つしかない。

敗戦を認めて、命を失うか、日本を核攻撃するか。もちろん、普通は後者を選ぶだろう。

では、日本はどうすればそれを防げるのか?

日本も核武装し、核を搭載した原子力潜水艦をもつしかない

もし、そうなれば、中国は日本のミサイル型原子力潜水艦をおそれて、うかつに核攻撃できなくなる。相手に核を使わせないためには、自分が核を持つしかない。これが、核の抑止なのである。

それにしても、日本は不思議な国だ。こんな重要かつ分かりやすいテーマがなぜ議論されないのだろう。たぶん、洗脳 ・・・ 中国人は愛国教育で「反日」を刷り込まれ、日本人は平和憲法で「マスターベーション平和主義」を刷り込まれている。

つまり、洗脳され、自分で考えられなくなった「思考奴隷」は中国人だけでなく、日本人も同じなのだ。これに加担しているのが政府とマスコミで、口当たりのいいことをふれ回り、大衆迎合主義(ポピュリズム)をひた走っている。ただ、一部のマスコミ、今回の自民党と日本維新の会は、それにブレーキをかける可能性がある。

話を一党独裁にもどそう。

日本には複数の政党があるので、国民は政治を選ぶことができる。民主党がダメなら、自民党という具合に。それが、国民にとって良いかどうかは分からないが、自分で選んだ結果責任という意味で、選べる方がフェアだろう。ところが、中国は一党独裁なのでそれができない。

■一党独裁

一党独裁とは、読んで字のごとく、単一政党による独裁政治である。ライバル政党が存在しないので、自分たちの都合で、好き勝手に国を動かせる。立法、行政、司法、すべてが思いのまま、国民を生かすも殺すも為政者の腹一つ、と言う世界。ギロチンで死体の山を築いたフランス革命の「恐怖政治」を彷彿させるが、一党独裁のすべてが悪いというわけではない。

たとえば、キューバ。共産党による一党独裁だが、悪しき独裁政治のイメージはない。1961年、カストロとチェ・ゲバラが革命を成功させた後も、ずっと教育・社会福祉に力を入れてきた。そのため、教育と医療は基本、無料。ただし、競争原理が働かないので、レベルは高くない。とはいえ、国民の生活重視の優しい独裁政治といえるだろう。

また、シンガポール、ベトナムも一党独裁だが、民主化が進んでいる。しかも、シンガポールは、教育も医療も世界最高水準にある。さらに、軍事独裁政権だったミャンマーも、民主化運動の指導者アウンサンスーチーの軟禁が解かれ、民主化が進みつつある。そのため、中国に代わって、ミャンマーは新しい投資先として期待されている。

だから、「一党独裁=悪」というわけではない。

じつは、20年前、一党独裁の権化といえばソ連だった。ところが、1991年、壊し屋ゴルバジョフによってソ連は崩壊し、15の共和国に分裂した。その中で、今でも一党独裁が続いているのはトルクメニスタンだけ。

また、「ヨーロッパの穀倉地帯」といわれる大国ウクライナも、ソ連時代の一党独裁の面影はない。複数の政党が乱立し、ガチで政治をやっている。とはいえ、真剣がすぎて、2012年12月にはちょとした事件が起きた。

ウクライナでは、2012年10月に選挙があり、新しい議会が発足した。その初日に、いきなり、殴り合いの大乱闘が起きたのである。騒ぎの発端はあまりに些末で、議員たちもよく思い出せないのだが、この乱闘で議員の1人が片耳をもぎ取られたという。日本の議会の乱闘とは真剣味が違う。見習うべきかどうかはさておき、ガチンコ勝負の真剣さが伝わってくる。

じつは、ウクライナの議員はプロスポーツ選手出身者が多いのだという。なので、議会の乱闘騒ぎは日常茶飯事。口で負けたら、リングの上で勝負というわけだ。ちなみに、この日は、ボクシング世界ヘビー級のタイトルを持つビタリ・クリチコ党首は乱闘に加わらなかったという。それで、片耳ですんだのだろう。

とはいえ、政治をガチでやることは良いことだ。それが、民主主義の基本なのだから。耳の一つや二つ、どうだというのだ。それで死ぬことはないのだから(たぶん)。

ところが ・・・

中国は中国共産党による一党独裁。しかも、党則に合わない思想や言論は一切禁止されている。もし、歯向かえば、牢屋に入れられ、そのうち、音信不通 ・・・ 片耳どころの話ではない。

■共産主義

ところで、一党独裁といえば、先ず思い浮かぶのが「共産主義」。たまに、ミャンマーのような「軍事政権」もあるが、文民統制が効かないので、長続きしない。国が内乱に陥ったときに一時的に成立し、混乱が収まったら、文民統治に移行するのが一般的。軍人は戦争のスペシャリストであって、政治・経済・外交のプロではないからだ。

ということで、一党独裁といえば、共産主義。

では、共産主義とは何か?

よく言われるのが、
「能力に応じて働き、必要に応じて取る」

怠け者の大食漢なら、願ったりかなったりだが、歴史のどの時代、どの地域をみても、そんな国は見あたらない。働き者の節制主義者に粛清されるからだろう。普通に考えれば、前者と後者が戦えば、後者が勝利するので。

とはいえ、「能力に応じて働き、必要に応じて取る」は、強力な政治体制が必要だし、物資の余裕がないと成立しない。モノ不足で、殺伐とした弱肉強食の古代社会ではムリ?

ところが ・・・

共産主義の歴史は古い。「財産の私有を認めない平等な社会」思想は古代ギリシャや南米の文明にも見られる。特に、食料が慢性的に不足している地域では、「私有」は社会を絶滅させる危険があるからだろう。だから、案外、共産主義は自然発生的なのである。

ところが・・・

19世紀末、ドイツのカール・マルクスとフリードリヒ・エンゲルスが、共産主義を体系化した。それが、「マルクス主義」である。マルクスが水も漏らさぬ論理で練り上げ、エンゲルスが著した「資本論」は、今も昔もマルクス主義のバイブルだ。

ただし、マルクス主義は普遍的な共産主義というわけではない。マルクス主義は、生産に必要な資本(工場や工具)は資本家が独占するのではなく、生産する労働者が共有するべきだと説いた。つまり、マルクスが想定したのは、農民ではなく、都市の工場労働者だったのである。

そのため、マルクス主義はお国柄に合わせアレンジされ、運用されてきた。たとえば、都市労働者が担い手となったソ連では「マルクス・レーニン主義」、農民が中心になった中国では「毛沢東主義」という具合に。

ところが、2012年現在、マルクス主義(共産主義)の旗は掲げても、実践している国はほとんどない。ロシアはもちろん、あの中国でさえ、経済だけは資本主義(共産主義の天敵なのに!)。しかも、貧富の格差は日本の比ではない。

では、なぜ、マルクス主義は廃れたのだろう?

自然界の大法則「適者生存」がスポイルされているから。

つまり、マルクス主義は科学というよりは思想に近い。

また、「能力応じて働く」は、資本主義の「適材適所」と相似だが、そうなると、資本家、管理者、労働者のような「役割分担=階級化」が生じる。ここで問題なのは、役割によって使う道具も異なるということ。資本家はカネ、管理者は鉛筆と紙、労働者はスパナという具合に。

このような、「使用」と「私有」を分離した不自然さが、運用上の不効率、不合理を生みだし、資本主義以上の階級社会をもたらしたのだろう。

■大学紛争(全共闘運動)

とはいうものの、マルクス主義は、明快さと難解さが同居し、断言と極論で読む者を圧倒する。だから、1968年から1975年の大学紛争(全共闘運動)では、学生のバイブル的存在だった。ところが、マルクス主義は階級闘争、行きつくところは「革命」である。そのため、学生と警察機動隊、さらに、学生間の闘争が激化し、暴力・殺人事件が多発した。

今でも、あの”熱い”時代は鮮明に覚えている ・・・

眠い目をこすりながら、大学に行くと、構内はヘルメットをかぶり、タオルで顔を隠し、角棒を握りしめた学生で一杯だ。100人はいるだろう。隊列を組んで、大学構内をねり歩いている。授業を妨害し、大学の教官たちをやりこめるためだ。やがて、警察の機動隊が装甲車両で到着。彼らもヘルメットをかぶり、大きな盾と警棒を持っている。機動隊の任務は学生を排除すること。やがて、両者は激突し、押し合いへし合いが始まる。両軍の最前線は、さながら古代の歩兵戦だ。

その頃、学生紛争は下火になっていたが、それでも、こんな状況が半年も続いた。授業ができないので、全員留年というウワサも流れた。これ幸いに麻雀に精を出していると、ある日、恐ろしい情報が飛び込んできた。授業は再開、でも、時間がないので、すぐに試験!あの時の恐怖は、今でも夢に見る。

ところで、学生は何を理由に暴れ回ったのか?

ある日、学食でランチを食べていると、天ぷらの肉にヘンな味がした。しばらくして、新聞に
「○○大学で、学食で犬の肉が使われた疑い ・・・」
という記事が載った。そこで、学生と機動隊の衝突 ・・・ つまり、理由は何でも良かったのである。

もっとも、犬の肉を食っても死ぬことはない。あるとき、学科担任の教授が、こんな話をしてくれた。
「以前、学生が教室に電気式の殺人装置を仕掛け、それで教官が感電死したことがあった」
電気工学科だからだろうが、シャレにもならない。

今の大学生には想像もできないだろう。あの時代の大学生は、みんな貧しく、いつも何かに飢えていた。イデオロギー以前に、社会に対する漠然とした不満があったのだ。その後、日本は豊かになり、学生運動もマルクス主義も自然に消滅していった。

今の若者世代は、物心がついたときから不況で、バブルはもちろん、成長する時代の高揚感も知らない。だから、夢も希望もないのだという。でも、あの時代の方がずっと貧しかった。僕らが愛した電気工学科には下宿生が30人ほどいたが、カラーテレビを持っていたのは1人だけだった。

その電気工学科もすでになく、「電子物理科学科」に名前が変わっている。なじめない学科名だ ・・・ 電気工学はやっぱり「電気工学科」でしょ。おいおい、授業もロクに出てないのに、偉そうに言うか?はい、言えません。

そんなこんなで、今の世相をみて、古い世代はこう嘆いている。
「今の大学生は俺たちよりずっと豊かなのに、元気がない。だからおゆとり様世代なんて言われるんだ」

でも ・・・

イデオロギーごときで、暴力・殺人をおかす世代より、よっぽどマシだと思うのだが。

■中国共産党

かつて、一世を風靡した共産主義も今は風前の灯火(ともしび)。それなりに存在感があるのは、中国共産党ぐらいだろう。

中国共産党は、1921年7月、上海で結成された。教義を指導したのは、共産主義の国際組織である「コミンテルン」である。創設メンバーは数十名ほどで、その中に、後に中華人民共和国を建国する毛沢東がいた。

ところが、中国共産党がスンナリ政権をとったわけではない。清朝が滅亡した後、孫文が興した中国国民党、「怪人」袁世凱が横取りした中華民国、さらに欧米、日本までが中国の覇権を狙っていたのである。まさに、「一寸先は闇」。そんな大動乱をへて、中華人民共和国が成立するまでの中国共産党の歴史は、中国で最も”熱い”時代であった。

《つづく》

by R.B

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