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週刊スモールトーク (第183話) 日中尖閣戦争Ⅵ~奪還作戦~

カテゴリ : 戦争歴史

2012.11.04

日中尖閣戦争Ⅵ~奪還作戦~

■中国に怖じ気づく民主党

2012年10月上旬、日米共同で無人島の奪還訓練を行うことが決まった。もちろん、「中国の尖閣諸島占領」に備えるためである。ところが、10月中旬、一転して中止。当初、アメリカ側から中止要請があったとのウワサもあったが、怖じ気づいたのは日本のほうだった。民主党の岡田副総理が撤回させたのだという。

撤回の理由は、
・ 中国への配慮。
・ 沖縄の「アメリカ兵強姦事件」で、県民感情が悪化したため。

日本はまだ、こんな次元でしか物事を考えられないのだろうか。しかも、国のリーダーたる者が。

今回の政府の判断(岡田副総理)は、矛盾に満ちて、背骨がない

まず、奪還訓練は「気晴らし」にやるのではない。「中国の尖閣諸島占領」に備えるためである。だから、奪還訓練を中止するなら、「中国の尖閣諸島占領」は絶対ありえないが大前提になる。もし、岡田副総理がそう判断したとしたら、ただのマヌケだろう。

また、「中国の尖閣諸島占領」を想定しながら、奪還訓練を中止したとすれば、国の安全保障を脅かしたことになる。これは、閣僚としては、「無能」ではなく「大罪」

そして、中止の理由が「中国への配慮」について。戦後、延々としてやってきた「中国への配慮」が今回何をもたらしたか?もう、忘れてしまった?このような簡単な事実関係も理解できない者が閣僚として居座る国 ・・・ すでに、この国の政治制度は破綻しているのかもしれない。

今回の中止で、キャンベル米国務次官補が外務省幹部に強い不快感を伝えたという。それはそうだろう。アメリカにしてみれば、自国領でもない無人島で、中国と事を構えたくない。日本のためにやっているのだから。岡田副総理の行為は、助けてくれるアメリカの機嫌を損ね、脅している中国の機嫌をとっているわけだ。正気の沙汰とは思えないが、まだ矛盾がある。アメリカを無視するなら、日本は自分で国を守るしかないですね。ところが、防衛費は減る一方!?

矛盾だらけの言動で、国の安全保障を脅かす副総理 ・・・ これは最悪だ。

さらに、中止の理由に「アメリカ兵の犯罪」をあげたのも問題だ。悪いのは犯罪を犯した個人であって、アメリカ軍ではないから。そもそも、アメリカ兵個人の犯罪と、国の安全保障とどんな関係があるのだ?奪還作戦を中止したら、アメリカ兵の犯罪が減るとでもいうのだろうか?この2つは、明確にわけて解決すべき問題である。

戦後、日本はアメリカの軍事庇護のもと、物作りと商売に専念していればよかった。だから、厳しい現実を問題解決する力を失っている。だが、政治家までそれでは困るのだ。我々国民は、もっと政治に興味を持って、愚かな政党や政治家を駆逐すべきだろう。

石原慎太郎氏は、80歳で、国政に復帰するという。よほど、現政権に不安をおぼえたのだろう。功罪はあるだろうが、こういうガチで政治をやる人間が国政に参加し、新しい日本を作ってくれることを心から願っている。

■尖閣諸島奪還作戦

中国が尖閣諸島を占領する可能性はもちろんある。その場合、日本は奪還するしかないだろう。

放っておけば、「尖閣諸島=中国領」が確定し、東シナ海、南シナ海はもちろん、アジアのすべての海が中国領になるから。そうなれば、アジアの安全保障は脅かされ、未来は中国一色になるだろう。

19世紀、欧・米・露は植民地をもとめ、アジアを荒らし回ったが、今ではそんな気概はない。代わりに、中国が威嚇戦術でアジアを脅し、覇権国家を目指している。まぁ、歴史は繰り返すというところだろう。

では、日本政府が尖閣諸島の奪還を決意したとして、具体的にどうするのか?

敵に占領された孤島を奪還する軍事作戦なので、セオリーは以下のとおり。
1.尖閣諸島の制空権と制海権を確保する。
2.尖閣諸島を空爆する。
3.尖閣諸島に歩兵を投入し制圧する。

日本は四方を海に囲まれているので、歴史上、このような島の争奪戦は珍しくない。たとえば、硫黄島の戦い。この戦いは、太平洋戦争末期に行われた硫黄島の争奪戦で、守るのは日本軍、攻めるのはアメリカ軍だった。つまり、今回の日中尖閣戦争とは真逆である。

硫黄島の戦いは、当初、孤島の占領作戦のセオリーどおりに進んだ。ところが、アメリカ軍には2つの想定外があった。日本軍が地下壕を掘り、空爆と艦砲射撃を無力化したこと。戦車を含む強力な重火器を持ち込み、アメリカ軍と対等に撃ち合ったこと。結果、アメリカ軍は勝利したものの、死傷者数が日本軍を上回るという前代未聞の事態となった。

では、日中尖閣戦争はどんな展開になるのか?

中国がなりふり構わず「勝ち」にくるなら、弾道ミサイルを日本本土、沖縄の基地に撃ち込むだろう。基本、弾道ミサイルは防御不能なので、日本は一気に劣勢に立たされる。ただし、この行為は「日本本土攻撃」を意味するので、日本も中国本土のミサイル基地を攻撃することになる。そうなれば、全面戦争になるので、戦争の名前も変わる。「日中尖閣戦争」から 「第2次日中戦争」へ。

もし、中国がそこまで思い切れないなら、戦況はセオリーどおりに展開するだろう。まずは、制空権と制海権の確保。中国が制空権・制海権を確保できないと、尖閣の上陸部隊は補給・支援を絶たれ、餓死するか、降伏するしかない。つまり、中国が尖閣諸島の占領を確固たるものにするには、制空権と制海権を”永続的”に確保する必要がある。

制空権とは、主に戦闘機によって、戦闘空域を占領することである。じつは、第二次世界大戦以降、制空権の確保が非常に重要になった。陸軍、海軍ともに、制空権を握った方が断然有利になるからだ。

なぜか?

たとえば、戦車 Vs 戦闘機。

戦車から見ると、戦闘機は点にしか見えず、それがハエみたいにブンブン飛び回っている。それをピンポイントで撃ち落とすのは至難だろう。ところが、戦闘機から見ると、戦車は「静止」している。狙いを定めて、高速接近しながら機銃掃射すれば、いつかは当たるだろう。しかも、弾丸の速度は、戦闘機の速度が加算されるので、貫通力が劇的に向上する。物体の運動エネルギーは速度の2乗に比例するからだ。ということで、陸の王者戦車も、戦闘機に対してはほぼ無力である。

ここで、第二次世界大戦中の「陸軍の精強度」を比較してみよう。もし、数が同じであれば、

ドイツ>アメリカ>ソ連>日本>イギリス>フランス・イタリア

というところだろう。

異論はあるだろうが、兵器のスペック、兵士の練度、指揮運用能力、実績を考慮すると、だいたいこの序列になる。ところが、制空権を完全に掌握すると、その国の陸軍がナンバーワンになる。理由は前述したとおり、空軍は陸軍(海軍も)の天敵だから。実際、第二次大戦当初、無敵を誇ったドイツ陸軍も、連合軍がノルマンディーに上陸し、制空権を奪われると、精彩を欠いた。

敵国のイギリス首相チャーチルに、「ナポレオン以来の戦術家」と言わしめたドイツの名将ロンメルはこんな言葉を残している。

「制空権を奪われたら、歩兵も、戦車も、いかなる作戦も不可能になる」

じつは、ロンメルのアフリカ戦線の輝かしい戦績も、精強なドイツ空軍あってのことだった。当時、アフリカ戦線には、ハンス・ヨアヒム・マルセイユというドイツ空軍のエースパイロット(撃墜王)がいた。彼は「アフリカの星」の異名をとったが、魔法のような秘技をもっていた。彼が機体を旋回させながら、何もない空間に機銃掃射すると、敵機は吸い込まれるように、その1点に向かっていったという。

敵機の未来の位置を予測して射撃するだけなのだが、誰かれ、真似のできることではない。今はフライトシミュレーターがあるので、その「超難度」は誰でも体験できる。そんなマルセイユに、ロンメルは敬意をこめて、こんなメッセージを送っている。

「君が空にいるから、我々は戦える」

■制空権

あれから70年経った今も、制空権の重要性は変わらない。日中尖閣戦争もしかり。制空権を掌握していないと、空爆も上陸もままならないから。

制空権を確保するため、空自は、沖縄・那覇基地に所属する那覇基地第204飛行隊(南西航空混成団)、および、福岡の築城第304飛行隊(第8航空団)の「F-15」戦闘機、およそ30機を発進させるだろう。これに対し、中国側は主力戦闘機「J-10」を数十機オーダーで発進させる。

こうして、尖閣諸島の上空では、今世紀最大の空中戦が繰り広げられるだろう。そして、その勝敗は ・・・

開戦から数時間で空自が勝利する」可能性が高い。たしかに、航空機の数では、中国は日本を圧倒する。しかし、中国空軍は旧型機が多く、最新鋭機の「J-10」でも、日本の「F-15」に劣る。しかも、パイロットの練度では、日本が中国を圧倒する。また、日本が80機保有する早期空中警戒機も中国は不足しており、索敵でも劣勢はいなめない。

ところが、中国の「J-10」のことはよく分かっていない。よく分からないのに、どうして、「F-15」より劣ると分かるのだ?

じつは、J-10は中国の国産機なのだが、心臓部のエンジンはロシア製。

だから?

中国の兵器のほとんどは、ロシアからの輸入品、または、そのコピー品である。ところが、コピー品といいながら、ちゃんとコピーできていない。なので、ロシアのオリジナルに比べ、スペックが劣り、メンテナンスも手間がかかるという。一方、ロシアの兵器のスペックはおおよそ見当がつくので、中国の兵器も大したことはない、というわけだ。大ざっぱな話だが、たぶん、本当だろう。

ということで ・・・

中国は、ロシアから兵器を購入し、セッセとまがいモノを作っている。だったら、ゼンゼン怖くないジャン。

ノー!だからこそ、怖いのだ!

中国は明確な国家戦略をもっている。安い人件費と無尽蔵の労働力をPRし、世界中から工場を誘致し、「蟹工船」のような劣悪な環境で国民をこき使い、GDPを稼ぎ出し、そのお金を惜しみなく軍備に使っている。しかも、最近は、お得意のコピーから、完全な内製化に移行しつつある。

だから?

古今東西、軍事兵器はその国の技術の象徴であり、国の安全保障の要(かなめ)である。だから、まがいモノのコピー兵器と、笑いたければ笑え、いつかはボクだって ・・・

ナチスドイツがヴェルサイユ条約のどん底から、忍の一字で、ひたすら軍備拡張し続けた状況に酷似している。世界中が、そんな中国の脅威をボンヤリと感じながらも、中国の工場が産み出す「安くて便利な生活」にどっぷりはまっている。まぁ、世界中が中国に貢いでいるわけだ。危機意識が欠落し、先の見通しが甘いのは、日本だけではなさそうだ。

ということで、机上では、空自が有利。

とはいえ、空自も中国軍も本格的実戦は初めてなので、何が起こるから分からない。でも、そういう場合は、訓練がものを言うので、空自のアドバンテージは揺るがないだろう。ゆえに、中国のステルス機がまがいもので、弾道ミサイルも使わない、という条件付きなら、制空権は日本が掌握するだろう。

《つづく》

参考文献:
週刊現代10月6日号 講談社
自衛隊4大国防戦!日本侵略Xデー 別冊宝島 宝島社

by R.B

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