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週刊スモールトーク (第14話) 地球最後の日Ⅱ~隕石衝突の回避~

カテゴリ : 終末

2005.09.18

地球最後の日Ⅱ~隕石衝突の回避~

■隕石の観測

巨大隕石の衝突は地球最後の日を意味する。それは生物の「個体」ではなく「種」を絶滅させるからである。では、そのようなデススター(巨大隕石)の条件とは?直径1km以上!たかだか1kmの隕石が世界を破滅させる?なんとかならないものか ・・・

隕石衝突を回避するには、まず発見すること。ということで、物騒な隕石を発見すべく、世界中で地道な観測が続けられている。公的天文台が中心だが、アマチュア天文家の活躍も大きい。きっと、天文オタクなんだろうけど、人類を救うオタクなので、安易にさげすまないように。

一般に、天体とは宇宙に存在する物体の総称で、恒星、惑星、小惑星、星間物質をさす。この中で、地球人類を破滅させる可能性があるのが小惑星だ。一方、隕石とは地球に落下したものをさすが、ここでは小惑星も隕石にくくることにする。では、危ない隕石を発見したとして、どうやって回避するのか?2つの物体の衝突を回避するのだから、方法は2つ。こっちが逃げるか、相手をずらすか。ところで、具体的にはどうすればいい?答えは映画の中にある。

■隕石衝突の映画

古いところで、1952年アメリカで公開された「地球最後の日」。巨大な恒星ベラスと、そのまわりを周回する惑星ザイラがセットで、地球に衝突するという筋書きだ。この映画では、衝突を回避する2案のうち、前者が採用されている。つまり、ロケットを建造して、地球を脱出するのである。現代版のノアの方舟というところだ。

脱出先は惑星ザイラである。地球は恒星ベラスと衝突し消滅するが、恒星ベラスと惑星ザイラは無傷という設定だ。ザイラは恒星ベラスの周回軌道にあるので、光も季節もある世界、第2の地球というわけだ。一応、つじつまは合っている。もちろん、重箱の隅をつつけば矛盾も出てくるだろうが、この手のSFではタブーだ。

ところで、この映画の冒頭で、衝突コースを計算する「D.A.」なる機械が登場する。たくさんの歯車がガチャガチャ回る怪しげな計算機で、いかにも映画の小道具という感じ。ところが、これは本物の計算機なのだ。たぶん、映画に登場した機械もホンモノ。

この歯車計算機は、アメリカのマサチューセッツ工科大学のV.ブッシュが発明した「微分解析機」である。ギアとカムのかたまりに見えるが、れっきとした機械式アナログ計算機。古典SF映画は、こんなマニアックな発見もあるので、観ていて楽しい。また、CGがまだない時代で、背景は塗り絵に近い。これがまたレトロな感じでいいのだが。

一方、逃げるのではなく、「相手をずらす」映画もある。1998年に公開された「ディープインパクト」と「アルマゲドン」だ。同じ年に、同じテーマでまさに“衝突”した映画である。この2つの映画では、核爆発で天体の軌道を変えて、衝突を回避する。「アルマゲドン」の方は主演がブルース ウィリスで、娯楽性も高かったので、大ヒットした。一方、「ディープインパクト」は地味なので、ヒットにはいたらなかった。ただ、隕石衝突とその後の大津波はかなり迫力があった。映画とはいえ、隕石衝突の恐ろしさは十分に伝わってくる。

■隕石衝突の回避

映画の世界では、「こっちが逃げる」より「相手をずらす」方が優勢である。仮にノアの方舟を作ったとしても、行先を見つけるのが大変なので。ということで、隕石を破壊、するか、軌道をずらすしか方法はなさそうだ。とはいえ、相手が直径1km~10kmともなると、通常爆薬というわけにもいかない。核爆弾しかないだろう。

爆発のエネルギーを効率よく隕石に与えるには、「アルマゲドン」のように、隕石の地中深く埋め込んで、爆発させるしかない。ただ、粉みじんに砕ければいいが、2つに割れて、2回衝突ではシャレにならない。また、隕石表面で爆発を起こし、軌道を変える方法もあるが、衝突地点が陸から海に変っただけ、なんてシャレにならない。巨大地震のかわりに、巨大津波が発生するだけ。生き埋めか溺れるか?

ならばいっそのこと、映画スターウォーズのデス スターの「惑星破壊砲」はどうだろう?荒唐無稽に聞こえるが、そんな案もあるらしい。核爆発で、強力なX線レーザーを発生させ、それで隕石を破壊するのだという(※2)。ところが、発射時の高熱で、みずからも破壊されてしまう。つまり、自爆兵器。そう言えば、昔、アメリカのレーガン大統領の時代に「スターウォーズ計画」というのがあったけど、どうなったのかな。

ところで、このようなビーム兵器の開発はどこまで進んでいるのだろう。最近のニュースによれば、2007年までに出力150kwでミサイルの迎撃が可能になるという。ゼンゼン話にならない。そういえば、大学時代、友人がレーザーを研究していたが、高出力のレーザーは難しそうだった。レーザー発振装置そのものが熱をもつので、連続照射は難しい。だから、断続的なパルス照射にせざるをえない。スターウォーズのようなビームの連続照射なんて夢のまた夢。

■隕石衝突の確率

ところで、こんな恐ろしい脅威に直面しながら、世界の指導者たちはなぜ手を打たないのか?これより優先すべき問題などあろうはずがないのに。繰り返すが、地球上の「種」が絶滅する話なのだ。おそらく、彼らが重い腰を上げない理由は「確率」、つまり自分の時代には起こらないと信じているのだ。

アメリカ人は統計好きである。日本人なら相手にしないようなデータを熱心に集めている。たとえば、人間が死ぬ確率。一般的な車両事故で死ぬ確率は100分の1。これは問題ナシ。洪水で死ぬ確率は3万分の1。竜巻に吹き飛ばされて死ぬ確率は6万分の1。飛行機事故で死ぬ確率は2万分1。面白いことに、隕石が衝突して死ぬ確率まである。こちらは、2万分1。

ちょっと待て、
隕石衝突で死ぬ確率 = 飛行機事故で死ぬ確率??
驚くべき数字ではないか!断じて、無視できる数字ではない。それに、隕石衝突の確率そのものは低くても、衝突したときの被害が地球規模ということを忘れていないか?

それでも、交通事故で死ぬ確率は、隕石衝突で死ぬ確率より1000倍高い ・・・ だから?交通事故で誰かが死んでも、巻き添えを食う人はほとんどいない。だが、隕石衝突が起これば、地球上の「種」の絶滅するのだ。しかも、たった1回の不意打ちで。単純な確率で安心するなんて、バカじゃないの?

■隕石衝突で滅んだ文明

こんなデータを見ていると、別の疑問もわいてくる。歴史上最古の町チャタル ヒュユクが栄えたのは、今から約9000年前。すると、ツングースの隕石衝突クラスなら、地球は20回経験したことになる。これでも、関東平野がまるごと破壊される。さらに、直径500mクラスの隕石衝突なら、6000年に1回の確率。ということは、人類は少なくとも1~2回遭遇している計算になる。

直径500mの隕石が海に衝突すれば、高さ数百mの大津波が発生する。沿岸部は全滅だろうし、内陸部も大損害を受けるだろう。一方、陸に衝突すれば、衝突地域は瞬時に蒸発し、広大な地域が火の海に包まれるだろう。さらに、マグニチュード10を超える超巨大地震が発生し、半径数百キロ以内の建造物はすべてなぎ倒される。まさに、地球規模の大災害である。

ところが ・・・

歴史年表のどこを見ても、「隕石衝突」らしき災害は記されていない

もう一つ謎がある。西暦800年頃から、バイキングが大西洋沿岸に植民を開始するが、そこには集落がほとんどなかったという(※2)。もちろん、内陸部では集落は存在し、その多くがバイキングの犠牲となっている。とすると、この時代、ヨーロッパでは、沿岸部ではなく、内陸部中心に集落がつくられたことになる。

しかし、これはおかしい。歴史の方程式に反するのだ。文明は沿岸部を中心に発生するものだからである。水、塩、海産物など海洋資源にくわえ、交易にも有利だからだ。現代をみても、大都市の多くが沿岸部にある。ではなぜ、800年頃、ヨーロッパの沿岸部に町がなかったのか?何らかの理由で、沿岸だけが壊滅したのかもしれない。それも、広範囲わたって。もし、直径500mクラスの隕石が大西洋に衝突したとしたら?

また、ノアの方舟伝説をはじめ、世界中に大洪水伝説が伝わっている。いずれも、地球規模の大洪水で、河川の氾濫や、地域の洪水などではない。とすると、隕石衝突による巨大津波?

古代アトランティス大陸も海に沈んだのではなく、巨大津波で呑み込まれたのかもしれない。とすれば、アトランティス大陸は今でも、陸として存在するはずだ。実際、アトランティスは現在の南米大陸にあったと主張する学者もいる。彼は、地理と地質学が専門だが、その主張にはかなり説得力がある。

隕石衝突と文明の滅亡を積極的に結びつけた学者もいる。クリューブとナピエというイギリスの天文学者だ。彼らは、紀元前1400年のミノス文明の滅亡も隕石衝突の可能性があると主張している(※2)。それなりの根拠があるので、一笑に付すこともできない。

ひょっとすると、我々の知らない時代、知らない場所で、歴史の記憶が消されているのかもしれない。

《完》

参考文献:
(※1)日本スペースガード協会「小惑星衝突」Newton Press
(※2)ゲリット L ヴァーシュアー松浦俊輔訳「インパクト」朝日新聞社

by R.B

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