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週刊スモールトーク (第129話) 北朝鮮と日本の戦争 ~日朝戦争~

カテゴリ : 戦争

2009.07.26

北朝鮮と日本の戦争 ~日朝戦争~

■挑発する北朝鮮

2009年、北朝鮮はミサイル発射実験と核実験を断行し、その後も、挑発的な言動を繰り返している。かつての日本政府なら、アメリカ・中国・ロシアに軽くいなされて、黙るところだが、最近は強気だ。昔は、自国民が拉致されても、見て見ぬふりをしていたのに、一体どういう風の吹き回しだ。きっと、人に言えないキナ臭い理由でもあるのだろう。国会議員のほとんどが、顔が曲がった老議員か、顔がつるんとした子供議員。彼らが、
「これまでを悔い改め、今後は、国民の生命と財産を守ることにしました」
と弁解しても、誰も信じないだろう。

北朝鮮の核実験はNGだが、アメリカ、イギリス、フランス、ロシア、中国はOK!?核不拡散条約(NPT)で、国連の常任理事国のみが核兵器の保有を認められているからだ。子供に話すと、
「なんで、一部の国だけOKなの?」
という質問が返ってくる。誰でも思いつく、しかし、即答不可能な鋭い質問だ。それでも、無邪気な常任理事国はこう答える。
「危険な核兵器をこれ以上増やさないため」
なるほど。じゃあ、核保有国も核を放棄すれば?

地球上はコロッセウム(闘技場)である。そして、国はグラディエーター(剣闘士)。みんな知っていることだが、国は崇高な平和主義者などでない。これは、地球の歴史が証明している。とすれば、生死を賭けた戦いの場で、武器を持った連中が、俺たち以外は丸腰でいろ、というようなものだ。疑問を感じない者などいないだろう。
「なんで、俺たちだけ武器を持ってはいけないのだ」
「これ以上、危険な武器を増やさないため」
「はぁ?」

核の問題は2つに分けて考えるべきである。核を許すのか、許さないのか?許さないなら全員が核を捨てるべきだ。許すなら、誰がもっても文句は言えない。どうせ、これ以上核兵器が増えても、大勢に影響はない。すでに、地球を何十回も滅ぼせるほどの核が存在しているのだから。普通に考えれば、北朝鮮を責める方にも非がある。

ミサイル発射実験もしかり。ロケットと弾道ミサイルの区別などあるわけがない。燃料を燃焼させ、ガスを噴射し、その反作用で宙を飛ぶ。頭に乗っかったのが、人間か、衛星か、爆弾か。それだけの違い。そもそも、弾道ミサイルとは、爆弾をのせた”ロケット”なのだ。だから、なぜ俺たちだけが責められるのだ?と北朝鮮の軍部は思っている。むしろ、北朝鮮が責められるべきは、麻薬、偽ドル、テロ、日本にとっては拉致問題だろう。

■日本人拉致問題

2002年9月、小泉首相は電撃的に北朝鮮を訪問、金正日総書記と会談し、日朝平壌宣言に調印した。北朝鮮との首脳会談は、西側先進国では初の快挙である。さらに驚くべきは、北朝鮮側が日本人拉致を公式に認め、拉致被害者を帰国させたことだ。これは、ロシアが北方領土を日本領土と認め、返還するようなものである。一体、誰がお膳立てし、どんな見返りを与えたのか、あの時の衝撃は今でも忘れられない。

ところが、拉致被害者の会が、拉致問題の完全な解決を求め、日本国政府もそれにのったため、北朝鮮はへそを曲げてしまった。北朝鮮にしてみれば、最大の譲歩をしたのに、ここまで要求されるとは思わなかっただろう。

もし、自分の家族や友人が、北朝鮮に拉致されていたら、おそらく、強硬手段には賛成しない。証拠隠滅のため、殺されたら?と不安になるからだ。それに、国交正常化すれば、交流も深まり、家族の情報も得られるかもしれない。個人的には、どこでもいいから生きていて欲しいという願いが、今すぐ会いたいという思いに優るのだ。

一方、金正日総書記が日本人拉致を認めたことで、軍内部に日本への強い反感が生まれた。それが、筋違いかどうかは問題ではない。そう思うことが問題なのだ。少し前、アメリカの朝鮮半島問題研究者が、米下院外交委員会の公聴会で次のように証言した。
「北朝鮮が戦争状態に陥った場合、韓国ではなく日本を攻撃するだろう」

もし、それが本当なら、日朝国交正常化を優先させるため、拉致問題で妥協しようがしまいが、結果は同じだったことになる。外交は、からみが多く、複雑で、いつどう転がるか分からない。サラリーマンが飲み屋で、持論をわめくのは無害だが、関係者が軽々しく外交に口出しするのは危険だ。一部の組織や個人の利益が、国益を損ねる可能性があるからだ。

■日朝戦争は起こるか?

ところで、北朝鮮は日本を攻撃する可能性はあるだろうか?少し前、TV、新聞、週刊もこの話題を取り上げた。一般論として、日本を核攻撃しても、北朝鮮が得るものはない。また、制海権は日本がとるだろうから、上陸できるのは一部の工作員だけで、大したことにはならない。などなど、総じて否定的な意見が多い

しかし、日朝戦争(北朝鮮 VS 日本)は起こらないと、本当に断言できるだろうか?歴史上、「まさか」で始まった戦争は多い。この手の問題は、一旦始まれば取り返しがつかないと言う点で、他の問題と本質が異なる。だから、慎重にならざるを得ないのだ。そこで、スタンダードな予測は専門家にまかせ、少し違った視点でみてみよう。 ロジックはいたってシンプル。
日朝戦争が起こっても困らない勢力 > 起こると困る勢力 → 戦争勃発」

まずは、アメリカ。オバマ政権が発足して、半年経って分かったことがある。
1.最優先は経済。
2.第2優先は、ヨーロッパおよび中東外交。
3.北朝鮮問題で、アメリカの若者の血を流すつもりはない。
4.それどころか、極東アジアの秩序は中国に丸投げしたいと思っている。

もともと、アメリカの民主党は日本より中国に親しい。テポドンがハワイ沖に撃ち込まれない限り、アメリカは本腰をいれないだろう。北朝鮮が日本に攻め込んでも、助ける素振りはするだろうが、本気で戦うつもりはない。つまり、1950年の朝鮮戦争のようにはならない。

オバマ大統領のやり方もうさん臭い。問題を解決するというより、問題を悪化させないよう、”言葉に気をつかっている”だけ。まるで神父のような語り口で、真実を隠蔽し、危機的状況をさとられないようにしている。
「我々は危機にあるが、大丈夫。Yes, we can」

オバマ大統領は、保護貿易はやめようと呼びかけながら、国内では「バイ・アメリカン」。中東外交では、イスラム勢力を刺激しないよう、言い回しに気を遣うだけ。クライスラーとGMは破綻し、巨額の債権が消滅し、多数の失業者が出ようとしているのに、誰も騒がない。むしろ、この破綻で、クライスラーとGMの処理が成功したと思いこんでいる。誰が考えても、外国車に50%の関税をかけない限り、ビッグスリーは復活しない。もちろん、そうなれば、世界中が保護貿易だ。これで問題解決?

別に、オバマ大統領が無能だと言っているわけではない(なんと大それたことを)。今回の経済危機は、誰がやっても簡単に解決できないと言いたいのだ。

ポイントは9つ。
1.これまでの世界の繁栄は、過剰消費(特にアメリカ)が生み出した幻だった。
2.過剰消費は、「借金」と「ムダと贅沢」が生み出した。
3.つまり、今の状況が本来の姿なのに、回復?
4.中国の回復の正体は公共工事で、個人消費は伸びていない → いずれ失速。
5.中国の真の回復は、欧米輸出が回復しない限りムリ → 輸出回復の気配なし。
6.つまり、2009年前半の中国の回復は見せかけの可能性が高い。
7.中国政府が大量の資金投入 → 公共工事以外に資金需要なし → カネ余り
8.結果、上海株がバブル → バブルはいずれ崩壊 → 世界同時株安
9.あと1回でも、金融不安が発生したら(例えばCDS炸裂)、金融崩壊?

こんな厄介な問題を、アメリカ1国で解決できるわけがない。アメリカが経済復興する方法はただ1つ、「バイ・アメリカン」。そうなれば、他国との経済紛争も起こるだろうし、実際、カナダはアメリカを提訴しようとしている。そんなこんなで、アメリカが「日朝戦争」にかまっているヒマはない。もっとも、勃発しても、アメリカはさほど困らないのだが。ということで、アメリカは「日朝戦争が起こっても困らない勢力」。

次に、中国と韓国。この2国は、第二次世界大戦の生々しい記憶が、日本への恨みとして残っている。また、貿易では、日本は完全なライバルだ。1950年の朝鮮戦争で、南北朝鮮は国家存亡の縁に立ったが、日本は国連軍相手に大儲けした。空前の好景気にわいたのである。この論理を適用すれば、中国と韓国にとって、日朝戦争で日本がへこんだほういい。なので、中国と韓国は、「日朝戦争が起こっても困らない勢力」のアップグレード版。

どんな悲惨な紛争も、遠く離れていれば、対岸の火事。日朝戦争が勃発しても、ヨーロッパは痛くもかゆくもないだろう。その昔、中東戦争が起こったとき、日本は「石油の値上がりだけを心配した」ことを忘れてはならない。どう考えても、
「日朝戦争が起こっても困らない勢力 >> 起こると困る勢力」
である。こういう場合、ささいな事件がもとで、戦争が勃発する可能性がある。第一次世界大戦のように。

こんな事実を目の当たりにして、北朝鮮が日本を攻撃することなどありえない、と真顔で主張する識者がいる。なにも、日朝戦争が起こると断言しているわけではない。歴史を斜め読みするだけでわかるのだが、
「この世界に、ありえないは、ありえない
誰もが予想しなかった「まさか」の戦争は、歴史上、枚挙にいとまがない。

例えば、1950年の朝鮮戦争。北朝鮮の金日成が侵攻を口にしたとき、同盟者のスターリンでさえ仰天した。それほどムチャクチャな計画だったのである。韓国が不意を突かれたのもムリはない。さらに、1990年のイラクのクウェート侵攻、その後のアメリカのイラクへの宣戦布告も予測する人は少なかった。

近年、最も象徴的な「まさか」の戦争は、第二次世界大戦だろう。1938年9月のミュンヘン協定で、イギリス首相チェンバレンは、
「チェコのズデーテン地方さえもらえれば、2度と領土要求はしない(かも)」
というヒトラーの誓いを真に受けた。そして、あろうことか、ズデーテン地方をドイツにプレゼントしたのである。ところが、1939年3月、ドイツはチェコ全土を併合、1939年9月1日にはポーランドへ侵攻した。これが、第二次世界大戦の原因である。戦争が起こるかどうかは、それがムリに見えようが見えまいが、仕掛ける側の気分次第なのだ。

■傭兵か自衛か?

「平和を盲信する者は、戦争を辞さない者によって、必ず征服される」
これは、5000年間、破られたことのない歴史の方程式である。国防とは、このような侵略に対する備えであり、「戦争も辞さない者」を想定するべきなのである。それを怠ると、どうなるか?1950年の朝鮮戦争がその答。

そんなおり、日本政府が防衛力を強化することを検討中、というニュースが伝わった。北朝鮮と中国の軍事的脅威に対抗するためである。これで、日本のいびつさが一つ解消されるかもしれない。最も脅威となる中国は、驚異的なペースで軍事予算を増加させている。中国は戦争も辞さないどころか、核戦争すら恐れていない。アメリカと相打ちになり、アメリカが全滅しても、中国は10億人も生き残るのである。こんな国に対する備えが、「仲良くしましょう」では話にならない。

軍隊とは、発想も価値観も違う「異文明」への備えである。こんな重要なことを、日本は傭兵(アメリカ)に頼ってきた。このままでは、古代カルタゴの二の舞になる。紀元前146年、地中海貿易で栄えたカルタゴは、ローマ帝国によって滅ぼされた。経済力でローマをしのいだのに、軍事を傭兵に頼ったからである。ローマ軍は、カルタゴ人を虐殺し、町を丸ごと焼き払い、2度と再生しないよう、大地に塩をまいたという。

ローマは、初めからカルタゴを滅ぼす目的で、難癖をつけ、追い込んだのである。まともな主権国家なら、到底のめないような要求をつきつけ、開戦させる。この経緯は、太平洋戦争にいたるアメリカと日本に酷似している。我々は、発想も価値観も違う異文明に囲まれていることを忘れてはならない。地球は、楽園ではなくアリーナ(闘技場)なのだ。

《完》

by R.B

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